研究分担者 |
松見 豊 北海道大学, 応用電気研究所, 講師 (30209605)
加藤 立久 京都大学, 理学部, 助手 (80175702)
土屋 荘次 東京大学, 教養学部, 教授 (40012322)
清水 忠男 東京大学, 理学部, 教授 (90011668)
広田 栄治 総合研究大学院大学, 副学長 (30011464)
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研究概要 |
(1)放射光利用科学 5+5ミ-ティング(平成元年7月24-26日) 真空紫外国際会議の招待講演者も一部加え、英国側参加者5名(Munro,Bordas(Daresbury),Codling(Reading),Kroto(Sussex),Woodruff(Warwick))と日本側総勢60名の参加をえて討論会を分子研で開催した。生体物質の蛍光スペクトル,表面構造解析,クラスタ-の生成と検出,内殻励起の研究等最新のテ-マについての発表・討議が有意義に行われた。 (2)高分解能分光学 5+5ミ-ティング(平成元年9月26-29日) 日本側参加者5名(広田(分子研)、清水(東大理)、土屋(東大教養)小尾(東工大理)、高見(理研))と英国側はホストのDixon教授(Bristol)を除く5名(Hamilton(QuesnMary大),Howard(Oxford),Baggott(Rreading),Brown(Oxford),Ashford(Bristol))がそれぞれ最近の成果を報告した。主なテ-マは (I)化学反応を中心とする分子ダイナミックス、 (II)反応過程で現れる短寿命中間体の分子構造、 (III)ファンデルワ-ルス力など弱い分子間力で結ばれた錯体の構造とダイナミックス、 (IV)高振動励起状態における分子の動的挙動、 (V)新しい分光学的手法、とくに高励起状態とダイナミックス研究の為の方法論の開発等である。お互いの問題意識が近く、活発な意見交換が行われた。会議の間に1日Rutherford-Appleton Lab.のLaser Lab.とOxford大学の物理化学科を見学した。前者は日本には類のない機関でその意味で興味をひいた。後者は世界的に著名な大学であるが、決して贅沢ではなくアイディアを尊重しユニ-クな研究を心掛けている点は注目すべきである。今回の会議を評価する声は日英両国側から大きく、人物交流をより一段と推進するかたわら、第2回5+5ミ-ティングを日本で開くことを確認した。 (3)シンクロトロン放射光による分光ダイナックス(加藤立久) シンクロトロン放射光による分光ダイナミックスの研究においては、二次元的な電子エネルギ-分光法が非常に有効である。今回は、マンチェスタ-大学物理学科のJohn Comer博士等によって発案・実用化された電子エネルギ-分光の二次元測定技術の習得、並びに同測定法を応用した研究を行った。彼等は1980年より電子信号の光変換を利用してCDC検出器を用いた二次元検出を行ってきたが、最近電子信号を直接計数するelectron-sensing素子・波高分別器付増幅気・計数レジスタ-を集積・一体化した新しい二次元電子検出器を試作した。今回、この新しい検出器に関する技術を修得し、電子衝撃二次元測定法によるエチレン負イオンの共鳴状態の研究を行い次の様な成果を上げる事が出来た。イ エチレンの基底状態の振動励起を伴う非弾性電子散乱において1.9ev 付近で共鳴現象を観測し^2B_<2g>負イオン形成によるものと同定する事が出来た。 ロ 電子の損失エネルギ-3.5〜5.5evの共鳴についても研究^2B_<3u>状態によるらしい事を確かめた。 ハ N_2分子の自動イオン過程における分岐比を決定することに成功した。 (4)真空紫外レ-ザ-光による光化学(松見豊) ノッチンガム大学化学科J.P.Simons教授の下で、準安定状態のキセノン原子と塩素化合物との反応過程の解明を行った。準安定希ガス原子とハロゲン化合物の反応によって生成する希ガスハラドエキシマ-は紫外及び真空紫外領域で発光、レ-ザ-発振も可能であるので、その反応過程の解明は重要である。世界に一つしかない大変ユニ-クなロ-タ・ビ-ム装置を用い具体的にXe(^3P_2)+R-Cl→XeCl+Rの反応を研究した。励起状態にあるエキシマ-分子が生成し、その発光が観測される。発光スペクトルから生成したXeCl-B状態の振動エネルギ-分布を求めた。また断面積のエネルギ-依存性も求めた。R-ClとしてはCCl_4,CFCl_3,CF_2Cl_2,PCl_3,SOCl_2を用いた。
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