研究分担者 |
オーメン マッシュー テキサス大学, 医学部, 助教授
クランカ サンタンブロジ テキサス大学, 医学部, 講師
ジュセッペ サンタンブロ テキサス大学, 医学部, 教授
有田 秀穂 筑波大学, 医学部, 講師 (20075576)
SANT'AMBROGIO Franca Dept. Physiol. and Biophys., Univ. Texas Med. Br. Research Instructor
MATHEW Oommen Dept. Pediatrics, Univ. Texas Med. Br. Associate Professor
SANT'AMBROGIO Giuseppe Dept. Physiol. and Biophys., Univ. Texas Med. Br. Professor
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研究概要 |
上気道(鼻、咽頭、喉頭を含む)の感覚受容特性と反射に関する広範な共同研究を実施し、下記の主な成績を得た。 研究ー1.モルモット上喉頭神経の呼吸性活動について.A.全神経活動、上喉頭神経神経束の求心性活動は、気管呼吸(T.BR.)、気管閉塞(T.O.)および鼻呼吸(U.A.BR.)で吸気時に増加したが、鼻閉塞(U.A.O.)では呼気時に増加した。このような呼吸性活動はイヌでの知見(Mathew,etal、1984)と明らかに異なるが、ウサギの知見(Tsubone etal.,1987)に類似した(表1)。 B.単一神経活動.合計34本の求心性線維から呼吸性活動を記録した結果、次の成績を得た。drive receptor 13本(38%)、positive pressure receptor 6本(17%)、negative pressure receptor 7本(20%)、nonーmodulated irritant receptor 7本(20%)、tracheal stretch receptor 1本(5%)。このようなreceptor分布はAの成績に一致する。イヌで観察されているcold receptorは発見されなかった。 研究ー2.capsaicinによるモルモット喉頭部から誘発される呼吸反射について.capsaicin溶液をモルモット喉頭部の粘膜に作用させたところ、明瞭な無呼吸反射(Apnea)が出現した。この反射は上喉神経と反回喉頭神経の除去によって消失した。Cー線維強く刺激するcapsaicinは喉頭部でも有効なことがわかった。また上喉頭神経の一部の線維からcapsaicinで刺激される記録が得られた。 研究ー3.モルモット喉頭部の水刺激に対する受容特性.合計34本の神経線維に対して、蒸留水デキストロ-ス(等張)および生理食塩水に対する応答性を調べた。irritant receptorの多くは蒸留水によって刺激されるが、それらのうち50%はデキストロ-スによっても刺激された。蒸留水とデキストロ-スの両方で刺激されるreceptorは溶液中のClイオンの欠如が原因であり、一方デキストロ-スには応答しないreceptorは浸透圧に感受性であることが示唆された。これらのreceptorは喉頭部の咳反射や気管支収縮の発現に関与する可能性が高い。 研究ー4.モルモット喉頭部の機械的刺激による咳反射機序について.モルモットの喉頭粘膜に縫合糸の断端で触刺激を与えると、明瞭な咳反射が誘発された。この反射の受容野は、声門より上位の領域と声門より下位の領域とに、便宜上分けられたが、前者は上喉頭神経内枝が、後者は反回喉頭神経が刺激を受ることが明らかになった。 研究ー5.小犬およびモルモットの上気道気流刺激による呼吸反射について.気管呼吸を行っている小犬とモルモットに対して、喉頭部から鼻腔に向けて気流刺激を与えた。気流が室温の場合、明瞭な無呼吸反射が出現したが、体温レベルに温められた温度では無呼吸は生じなかった。cold receptorを特異的に刺激するメンソ-ルを与えたときには、温度でも強い反射が発現した。これらの動物では、上気道のおける気流刺激(温度刺激)は呼吸調節の上で重要であることが示唆された。 研究ー6.イヌの上喉頭神経外枝および反回喉頭神経における求心性活動について.これらの神経は、通常運動性神経と考えられるが、詳細に観察すると、わずかながら感覚線維も含まれることが明らかになった。これらの線維の呼吸性活動を明らかにした。
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