研究課題/領域番号 |
01044161
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原口 紘き 名古屋大学, 工学部, 教授 (70114618)
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研究分担者 |
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
栗原 康 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90004259)
戸塚 績 東京農工大学, 農学部, 教授 (00109901)
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
巻出 義紘 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40011746)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 地球環境問題 / 人間活動 / 温室効果 / 二酸化炭素 / フロンガス / 酸性雨 / 森林生態系 / 河口域生態系 |
研究概要 |
本研究は最近世界的に大きな関心を集めている地球環境問題に関連して、地球温暖化、酸性雨、都市河口域生態系に対する人間活動の影響と、陸上生態系の劣化の進行の評価を行うことが研究目的である。このような地球環境問題は従来の地域的な環境問題と異なり、国境を越えた地球規模の環境問題であり、将来地球生態系の破壊による人類の生存さえも懸念されている。ゆえに、上記のような研究目的の実現のために、本研究は国際共同研究として計画を推進することとし、国内研究者21名、国外研究協力者15名の計36名で研究班を組織した。 研究代表者として原口が全体の総括を行うこととし、班員を次の3研究グル-プに分けて研究を実施した;(1)温室効果ガスと人間活動(グル-プ代表者:原口紘き)、(2)酸性雨の湖沼・森林に及ぼす影響評価(小倉紀雄)、(3)都市河口域生態系の劣化と修復(栗原康)。研究者間の情報交換および研究打ち合せのために、全体会議2回、グル-プ代表者会議3回、グル-プ班会議を各グル-プ毎に数回開催した。とくに、12月の全体会議では本年度の研究成果並びに外国出張の報告を重点的に行った。 グル-プ(1)の「温室効果ガスと人間活動」研究班は、国内研究者9名、国外研究協力者2名で構成され、次のような研究課題について調査研究を実施した。フロンガスによるオゾン層破壊、地球温暖化と農業生産、火山性ガスの循環、二酸化炭素の大気ー海洋交換、地球進化と地球温暖化、地球温暖化とエネルギ-資源利用の効率化、陸上生態系への紫外線影響評価、地球環境問題の経済的側面。これらの研究課題の調査のために国内研究者8名が米国、英国、オランダ、フランス、西ドイツ、イタリア、スウェ-デンに出張し、国際会議出席、国際研究機関や大学などを訪問して情報交換、デ-タ収集を行った。また、Sombrock博士(オランダ)を招聘し、地球温暖化に対する土壌の寄与を中心に討議を行って、国際共同研究の推進と研究協力について有益な助言を受けた。 グル-プ(2)の「酸性雨の湖沼・森林生態系に及ぼす影響評価」研究班は、国内研究者6名、国外研究協力者6名で構成され、次のような研究課題についての調査研究を実施した。酸性雨の湖沼生態系への影響評価、酸性雨の森林生態系への影響評価、酸性雨の土壌生態系への影響評価、酸性雨の発生・輸送機構の解明、酸性雨の発生源対策。これらの研究課題の調査のために国内研究者延べ7名が、米国、カナダ、中国、オランダ、西ドイツ、チェコスロバキア、スウェ-デン、ノルウェ-に出張し、関連研究を行っている大学、研究所、試験研究センタ-、被害森林や湖沼現地を訪問し、情報交換、デ-タ収集などを実施した。また、中国の研究者2名を招聘し、中国における酸性雨の発生と被害状況を聞くとともに、発生源対策に関する今後の技術開発について討議した。 グル-プ(3)の「都市河口域生態系の劣化と修復」研究班は、国内研究者6名、国外研究協力者7名で構成され、次のような研究課題について調査研究を実施した。河口域生態系の環境設計、人間活動の河口域生態系への影響評価、河口域の生態学的特性評価と修復。これらの研究課題の調査研究のために国内研究者延べ8名が、米国、オ-ストラリア、トルコ、イタリア、中国に出張し、現地の研究協力者と都市河口域の実態を調査するとともに、研究討議、デ-タ収集を行った。また、Heckman教授(西ドイツ)を招聘し、UNESCO/MAB東南アジアセミナ-出席、ヨ-ロッパにおける河口域生態系の現状報告を受けるとともに、将来の国際共同研究のあり方などについても打ち合せを行い、協力を要請した。 以上のように、本研究では現在急速に進行しつつある地球環境破壊に関する諸問題について、広範な研究課題の調査研究を実施した。これらの地球環境問題について我国は科学的研究の取り組みが遅れており、今回の研究においても国際的な見地からもアジアにおけるリ-ダ-として、日本の研究者が指導的な役割を果たすよう、多くの外国研究者、研究機関から要請があり、そのための相互理解を深め、将来計画の指針を得ることができたことは極めて有意義であった。
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