研究課題/領域番号 |
01044164
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
光田 寧 京都大学, 防災研究所, 教授 (90027219)
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研究分担者 |
甲斐 憲次 筑波大学, 地球科学系, 講師
塚本 修 岡山大学, 教養部, 助教授 (40027298)
佐橋 謙 岡山大学, 教育学部, 教授 (80032754)
井上 治郎 京都大学, 防災研究所, 助手 (90027300)
池淵 周一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20026181)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 砂漠 / 接地気象 / 地下水 / 観測法 / 乾燥地 |
研究概要 |
砂漠における地空相互作用を研究するに当たって、現地での観測をどのようにすれば良いかという点を中心に中国の研究者と協力して研究を行った。日本側にとって砂漠において観測することは未経験であるので多くの点で問題があり中国側の協力が必要であった。 研究は甘粛省河西回廊の黒河流域で行った。この付近は5000m級の山の氷河から水の供給があり、黒河は砂漠の中にオアシスを形成しながら最後には砂漠の中に消えて行く。従って、比較的地下水位も高いものと思われるが、中国ではこの地域に灌漑による農地を作って多くの収穫を得ているので、ここでの砂漠化、特に水収支には大きな関心が持たれている。まず砂漠の中に試験観測点を設け、風向、風速、日射、気温、湿度、地温の連続観測を行った。これには日本で現在普通に用いられている計測器の中から選んだものをそのまま用い(太陽電池を電源とし)たが結果としては落雷による記録停止が1日あっただけで連続記録が可能であった。ただこの記録では気温低下時にAーD変換器の感度の変化することが最も大きな問題であり、補正が必要であった。 3月になって微気象、地下水およびエアロゾルの研究者8名よりなる調査団を送って、簡単な装置によって試験観測を実施した。砂漠地帯の特色はまず乾燥していること、気温の日較差が大きいこと、飛砂があることなどが挙げられるが、案外予想外のことが生じる。表面では砂漠であってもある場所では地下90cmまで堀ってみると地下水面に達した所もあった。3月のこの時期にこの場所では地表から数cmまでだけが乾燥状態にあり、それより深いところでは間げき(約36%)の約20%が水で満たされていた。そして深さ35cmから10cmほどの凍土層が存在していた。このように予想外に水分が多い状態にあるように見られる。これに応じた観測を考える必要がある。 一方、中国側の予備観測によると9月中頃ゴビ(岩石)砂漠の上では昼間、晴天時に水蒸気の乱流輸送が下向きになっているという状態が明かとなった。これは大気の側から地面に水蒸気が運ばれているということで今までの常識では考えられないことである。このように多様な状況が砂漠では生じているようであって、簡単な状態であると考えるのは適当ではない。 砂漠の上の気象条件もまた多様であり、地表近くの湿度は80%ぐらいの時期もあればほとんど0%を示す時もある。また1日の間でも非常に大きな変化が存在するようである。これは先に述べた地中の水分の変化の様子と関係していることは当然であるが、短期間の観測だけで砂漠での全てを知ることはできない。 期間中に砂嵐が発生し、砂塵嵐が広範囲にわたって発生し移動するのを経験することができた。エアロゾル関係の資料については現在解析中であり、近く結果が出せる予定である。この研究の成果は1989〜1993年に実施される日中共同研究HEIFEに応用される。
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