研究課題/領域番号 |
01044165
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 進 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (10025827)
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研究分担者 |
瓜生 道也 九州大学, 理学部, 教授 (60037215)
住 明正 東京大学, 理学部, 助教授 (10179294)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
廣田 勇 京都大学, 理学部, 教授 (70025485)
深尾 昌一郎 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30026249)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 赤道大気 / インドネシア国 / 国際協同観測 / 国際シンポジウム / 気象ゾンデ / 大気数値モデル / VHFレ-ダ- |
研究概要 |
赤道地域の大気は、温暖な海に面し全地球的大気循環および気候変動を駆動するにもかかわらず、これまで観測デ-タの蓄積が極めて不十分であった。そこで、平成2年度以降5年間の文部省の新プログラムとして、日本を中心に西太平洋域における赤道大気の集中的国際協同観測・研究を行い地球環境問題の飛躍的解明を図る計画が具体化されつつある。本研究の目的は、インドネシア共和国と共同で赤道大気観測のデ-タを収集・解析すると共に日本並びに欧米諸国で行われている地球大気観測技術や大気モデリングについて調査し、現在計画中の総合観測計画の基礎とすることであり、調査・研究の結果以下のような成果を得た。 1.平成2年3月6日から7日に、インドネシア国ジャカルタにおいてインドネシア政府機関の技術評価応用庁(BPPT)及び航空宇宙庁(LAPAN)の協力の基に、「インドネシア地域における赤道大気観測に関する国際シンポジウム」を開催した。本シンポジウムには日本から加藤・深尾・津田・山中・廣田・上田・住・田中・岩坂・高橋・山形が出席すると共に、欧米より国際学術組織の代表としてリウ(米、SCOSTEP幹事長)・イ-ベル(西独、IAMAP幹事)・ゲラ-(米、STEP運営委員)・ゲ-ジ(米、TOGA運営委員)・シャナン(仏、IGBP運営委員)・レトガ-(西独、EISCAT所長)らを招き、インドネシア側からはBPPT大臣のハビビ氏を初め多くの参加者を得て、地球環境問題における赤道大気の重要性と、インドネシア地域における総合観測計画について議論を行った。赤道レ-ダ-と呼ばれる超大型の大気観測レ-ダ-をスマトラ島に建設する計画や、赤道域における成層圏オゾンの減少傾向についてなどの興味深い発表があった。 2.平成2年2月23日から3月26日に、津田がインドネシア国スラバヤにおいて連続気象観測を実施した。同観測は気圧・風速・気温・湿度が観測可能な気象ゾンデ観測を一日4回実施するというインドネシア地域における初めての試みであり、赤道域大気での対流圏・成層圏大気擾乱の振舞いを明らかにすることが出来ると大いに期待される。 3.赤道域大気の物理化学現象の数値モデルについて調査を行うため、平成2年3月1日から15日まで吉澤が米国商務省海洋大気研究所に、また3月12日から27日まで麻生が米国ボストン大学に赴き、議論を行った。また、フェッツア-(1月12日〜3月10日)・プラム(1月14日〜27日)・ボ-ビル(1月20日〜2月22日)・ツング(3月2日〜15日)博士らを招へいして、京都大学・九州大学・東京大学において廣田・瓜生・住らと大気モデルに関する議論を行った。 4.欧米におけるVHFレ-ダ-観測網による大学観測技術の現状について、平成2年1月7日〜22日に神沢が米国シアトル他に、平成2年1月31日〜2月14日に秋吉が米国ボルダ-に、3月6日〜20日に福山が英国及び仏国に赴き、調査を行った。また、3月3日〜31日に高見が米国ボストンにおいて調査と議論を行うとともに、深尾(3月17日〜31日)と共にアルゼンチンにおいてレ-ダ-による電離圏を含む大気の観測技術について調査を行った。 本研究においては、以上のように欧米各国への調査旅行と欧米研究者の招へいによって、赤道大気の観測計画及び観測技術、大気モデルの構築に関して多くの関係研究機関・研究者と議論及び情報の交換を行うことができた。また、ジャカルタにおいて国際シンポジウムを開催することによって、赤道大気の国際協同観測に関して議論を行い、インドネシア政府を含む関係者の間でその必要性について合意することができた。さらに、赤道域における観測の手始めとして連続気象ゾンデ観測を実施した。これらの成果は今後5年間予定されている環境問題に関する新プログラム遂行の上で大きな意義を持つと考えられる。
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