研究課題/領域番号 |
01044168
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 弘之 東京大学, 工学部, 教授 (20010689)
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研究分担者 |
薬師寺 泰蔵 埼玉大学, 政策科学研究科, 教授 (30114218)
今井 賢一 一橋大学, 附属産業経営研究施設, 教授 (80017467)
猪瀬 博 学術情報センター, 教授 (70010618)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 技術のグロ-バル化 / ゲ-ムのル-ル |
研究概要 |
研究グル-プの研究者から提出された研究協議資料 「New Sources of International Friction :the Struggle for competitiveness」(Sylvia Ostry) Globalisation,Competitiveness and role of the small countries」(J.M.G.Caraca) 「Enterprise stratagies and technical networks.(Herbert I. Fusfeld) 「TechnoーGlobarism and U.S Technology and trade policies」(Darid.C.Momery) 「High technology and Human Being」(吉川弘之)に基づき研究討議を行った。 科学技術と社会・経済の間の関係が更に緊密化するとともに、科学技術の国際化の進展により研究開発、技術普及から応用に至るまでの幅広い範囲にわたって国際間での協力の在り方について研究討議を行った。研究討議結果の概要は次のとおり 1.我々は急速な科学的・技術的変化が進む新しい世界に生きている。世界は多くの機会と挑戦に直面している。これらの新しい環境により、技術的にも経済的にも、企業は地球規模での技術提携やネットワ-クを作り相互依存を深めるという。新しく創造的な対応をするインセンティブを持つようになった。 2.技術のグロ-バル化は、生活の質の向上、経済成長及び人類の福祉に多大の貢献をなす可能性を秘めている。従って、これらのプラス効果を最大化し、技術発展の成果の移転及び拡散を国際的なレベルで促進させることが重要である。 3.テクノクロ-バリズムからプラスの利益を得るために、各国は、新しい国際貿易体制の中で、自国の主要企業を成功に導くような政策をとるよう努力してきた。他方、各国では、これら企業に対する他国の政策の影響を抑制するよう多種多様の政策も実施してきた。 4.このような政策は国によって大きく異なっており、このような相違か国家間の摩擦と軋轢を引き起こしつつある。我々の研究討議事項の一つは、これら諸政策のより緊密な収斂の必要性についてであった。これら諸政策の調和を図ることは、世界貿易体制に現れつつある緊張を緩和することになろうし、テクノグロ-バリズムのもたらす利益を充分に拡大することを可能としよう。 5.テクノグロ-バリズムの利益を十分に享受し、そのありうべき落し穴を回避することを確保するためには、国際経済活動を規律している「ゲ-ムのル-ル」を改訂することを検討しなければならないとの考えもある。我々は新しい技術の創出によってもたらされる利益を建設的に開発することをさらに奨励する新たな方途を発見できることを希望する。 6.新しい科学技術が様々な異質の文化及び概念交流から生み出され、それが人類全体の共通財産となることに鑑み、我々は全世界の科学的知識の蓄積を恒常的に拡大し、新たにすべく、協力しなければならない。我々は、我々全てに影響を与える、地球環境問題のような課題に取り組むための基礎的かつ根元的研究に対する協力を拡大すべきであるとの点で意見の一致を見た。我々が技術的知識及びノウハウの基礎を拡大すべく、共同作業を行うことができる分野は間違いなく多数ある。 7.我々は、技術革新と拡散の源泉が専門家及び一般大衆双方を含めた人々に依存していることを想起すべきである。特に、人的資源に対する充分な投資なしでは、人口的要因等により、科学者及び技術者の適切な供給は確保しえなくなる恐れがある。既にかかる人材の市場は今や完全に国際化しているので技術者及び科学者の交流は拡大されるべきである。 8.世界中の民間企業が様々な公式・非公式の取り決めを結ぶようになった。これらの取り決めは、国境を越え、活動拠点となる国が「ゲ-ムのル-ル」を確立し、それを実施するとの問題を生ぜしめている。 現在の産業活動は、ますます知識、とりわけ科学技術知識の創造、獲得、そして利用を重観するようになっている。これによって、知的財産の定義、扱い、そしてそれへのアクセス及び交換が産業界及び政府の関心の的となった。しかし、知的財産の扱いは先進国の間で調整されておらず、これらの国々の摩擦要因となっている。この問題は、緊急の課題として扱われなければならない。
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