研究課題/領域番号 |
01045002
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
本庄 一雄 岩手大学, 農学部, 教授 (20003759)
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研究分担者 |
宋 嗣宏 吉林農業大学, 講師
徐 永平 吉林農業大学, 講師
趙 蘭坡 吉林農業大学, 副教授
何 紹桓 吉林農業大学, 教授
鄭 経農 吉林農業大学, 教授
渡邉 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (90003756)
近藤 富美雄 岩手大学, 農学部, 教授 (60003729)
村上 大蔵 岩手大学, 農学部, 教授 (00003731)
晴山 信一 岩手大学, 農学部, 教授 (00003723)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1990年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | アマランサス / 栽培 / 乾物生産 / 飼料作物 / 蛋白質 / 飼料価 / アマランサスサイレ-ジ |
研究概要 |
1.栽培技術の体系化:Amaranthus Hypochondricus の一系統を用い、栽植密度と播種期および栽植密度と施肥量の組合せ試験を実施した。草丈は栽植密度による違いは小さいが、穂長の違いは大きく疎植ほど大きい。穂重と子実重の間には高い正の相関係数r=0.986がみられた。穂長と穂重の間にはr=0.819,茎の直径(地上10cm)と穂長の間にはr=0.841の相関があった。栽植密度と播種期の組み合せ試験の子実収量は240ー320Kg/10aの違があった。栽植密度による違いは小さいが、播種期が遅れると子実収量は低下する。栽植密度と施肥量試験の子実収量は270ー280Kg/10aであって栽植密度、施肥量の違いはみられなかった。 2.乾物生産特性:アマランサスの乾物生産に関する過去の成績がないので、水稲を対照として検討した。8月末までの乾物生産は両者ほとんど同じであったが、アマランサスの収穫期が早いので9月に入ってから乾物生産が劣る。収穫期の乾物重は10a当たりアマランサス1,426Kg、水稲1,658Kgであった。アマランサスの乾物生産速度には2つのピ-クがあり、第1のピ-クは7月8日ー21日の期間にあって1日1m^2当り約33gの乾物生産があった。第2のピ-クは8月19日ー9月1日の期間で子実登熟の盛期に相当し1日1m^2当り23gであった。アマランサスは草丈が大きく、葉も大きいので相互遮蔽が早くから始まり、7月下旬より下葉が枯死落葉するので葉面積は大きくないが、純同化率は大きくこれがアマランサスの乾物生産特性の一つにあげられる。穂への乾物分配率は45%であった。 3.子実、茎葉の飼料価格の判定:子実、茎、葉について生育期別に栄養成分を測定し、粗蛋白質含量は茎葉とも生育初期に高く、生育が進むに従って減少すること、また、減少の度合は葉では小さく茎では大きいこと、子実のリジン含量が高いことを認めた。さらに、育成牛2頭を用いて、酸不溶性灰分を指標物質とするアマランサスサイレ-ジの消化試験を行った。各栄養成分の消化率は粗蛋白質;71.4%、粗脂肪;48.2%、可溶無窒素物;65.6%、粗繊維;59.0%であった。同サイレ-ジ中の水分含量86.5%、可消化粗蛋白質含量1.4%、可消化養分総量含量7.4%、可消化エネルギ-含量0.35Mcal/Kgとなった。栄養率は4.3となり、割合に狭いことが分った。従って栄養率の広い飼料原料を配合してサイレ-ジを調整し、使用することも考えられる。 4.子実の栄養、食品の素材特性:供試したアマランサス子実(乾物当り含有率)は粗蛋白質16.3%、粗脂肪6%、灰分2.1%、粗繊維3.7%、可溶性無窒素物55.2%であった。蛋白質の栄養価値をアミノ酸価(1985年FAO)で、示すと84で、第1制限アミノ酸はスレオニン、第2制限アミノ酸はロイシンであった。一方、アマランサスを基本材料とした飼料をシロネズミに与えて試験したところ、蛋白質の消化率は82.6%、生物価は70となり白米より低いものであった。脂肪含有率はコメ、ムギ、トウモロコシに比較して多いが、脂肪酸組成はオレイン酸が31.7%、リノ-ル酸36.5%で、一般の植物油同様リノ-ル酸の多いことが分かった。デンプンの性質を糊化開始温度、最高粘度時の温度について、小麦粉(中力)、キビ粉と比較したところ、キビ粉デンプンに類似していた。 5.アマランサスサイレ-ジの牛体機能に及ぼす影響:アマランサスサイレ-ジの嗜好性及び牛体機能に及ぼす影響を知るため、2頭の育成牛に3週間にわたって給与し、一般臨床検査、血液および尿検査、肝機能検査および第一胃汁検査を行なった。牛に対する嗜好性は劣るが、乾草に対するこのサイレ-ジの割合を漸次増加することによって嗜好性は改善され、試験開始後5日目にはサイレ-ジの全部を採食した。サイレ-ジの給与量は日量10ー15Kgとしたが、この量では栄養が不足し、体重が減少するので、サイレ-ジの給与量を更に増加するか、あるいは乾草や濃厚飼料を併用することが望まれる。
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