研究分担者 |
洪 どん杓 全北大学校, 工科大学, 助教授
李 聖哲 全北大学校, 工科大学, 副教授
高橋 隆行 東北大学, 工学部, 助手 (70197151)
石原 正 東北大学, 工学部, 助教授 (10134016)
長南 征二 東北大学, 工学部, 教授 (20005424)
LEE Seong-Cheol Associate Professor, College of Engineering, Chonbuk National University
CHONAN Seiji Professor, Faculty of Engineering, Tohoku University
HONG Dong-Pyo Associate professor, College of Engineering, Chonbuk National University
洪 〓杓 全北大学校, 工科大学, 助教授
季 聖哲 全北大学校, 工科大学, 副教授
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研究概要 |
本共同研究は,現在の工業用ロボットの司搬重量がア-ムの自量の1/20〜1/50と低く抑えられており,より高速かつ効率的なロボットを構築するためには,ア-ムの弾性変形や振動を考慮に入れた制御法の開発が不可欠であるとの視点から検討を行ってきた.さらに得られた研究成果が実際のロボットに適用可能であることを示すため,理論・実験の両面からの考察を行った.以下には,年度毎の研究計画に沿ってその経過と成果について述べる. 平成元年度は,理論的な基礎を構築することと,今後の研究に必要なハ-ドウェアおよびソフトウェアの整備に力を入れた.具体的には次のようになる. (1)弾性ア-ムを含む制御系のシミュレ-ションを行うために必要な基礎方程式の導出と,その解析ソフトウェアを完成させた.この際,両国の間でコンピュ-タシステムが違う事に起因するコンピュ-タプログラムの互換性が問題となったが,C言語を密接な連絡を取りながら使用することで解決された. (2)作成したシミュレ-ションソフトウェアを用いて,種々の条件について検討し,実験装置の概略設計を行った.また,構築する予定の制御系の最適パラメ-タを決定した. (3)得られた研究成果を,'89KACC(韓国自動制御学術会議)において,関連する論文も含めた3編を発表した.その他,4編の論文を雑誌等に発表した. 以上により,弾性ロボットア-ムの高速制御の検討に必要な環境は,ほぼ整った. 平成2年度は,理論および実験の両面から詳細な考察を行った. (1)実験装置を用いて,ア-ム根元に様々な目標信号を与えたときの先端位置を計測し,シミュレ-ション結果とよく一致することを確認した.このことより,前年度に構築した基礎方程式の妥当性と,シミュレ-ションプログラムの信頼性について検証できた. (2)理論解析で使用する数値ラプラス変換法について検討し,パ-ソナルコンピュ-タ上で十分な精度が期待できる解法プログラムを開発した. (3)本研究の応用の一つとして,振動的な環境におけるハ-ドディスク装置のヘッドの位置決め制御に関し,シミュレ-ションによる検討をスタ-トさせた. (4)得られた研究成果を,'90KACC(韓国自動制御学術会議)において,関連する論文を含めた3編を発表した.その他,7編の論文を雑誌等に発表した. 以上により,本研究で用いた制御法の妥当性について確認ができた. 平成3年度は,実験装置及び制御用ソフトウエアの総合的評価と性能確認を行った. (1)並進運動する移動台上に取り付けられた弾性ロボットア-ムの先端位置制御に関し,逆ダイナミクスを用いた制御則の決定法が有効であることを,コンピュ-タシミュレ-ションおよび実験により確認した. (2)弾性ロボットア-ムの先端位置を計測し,PD制御則を用いて制御することにより,根元に外乱を受けるような環境下でも先端位置を制御できることを確認した.これは,ハ-ドディスク装置などを車やその他振動外乱の多い場所で使用可能とするために重要な結果である.またここで用いた制御則は,ア-ム先端に種々の負荷質量を取り付けた場合にも有効に機能することを確認した. (3)本研究により得られた研究成果5編を,関連する研究も含めて'91KACC(韓国自動制御学術会議)国際セッションにて,日韓双方の共著論文として発表した.さらにその後,東北大学にて日韓双方の研究者による合同セミナ-を開催し,本共同研究の成果を含め9編の研究発表を行った.その他,7編の論文を雑誌等に発表した. 以上3年間の共同研究プログラムにより,弾性ロボットア-ムの高速位置制御法に関して十分な成果をあげ,今後はこの成果をマイクロロボットの制御に発展させることで,日韓双方が合意した.
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