研究課題/領域番号 |
01045014
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
沖 猛雄 名古屋大学, 工学部, 教授 (30023039)
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研究分担者 |
王 淀佐 中南工業大学(中華人民共和国), 教授
鄭 蒂基 中南工業大学(中華人民共和国), 教授
鍾 海雲 中南工業大学(中華人民共和国), 教授
張 啓修 中南工業大学(中華人民共和国), 副教授
市野 良一 名古屋大学, 工学部, 助手 (70223104)
山内 睦文 名古屋大学, 工学部, 教授 (40115647)
XIU Zhang-qi Central South University of Technology in China, Assistant Professor
YU Zhong-hai Central South University of Technology in China, Professor
ZHUO Wang-dian Central South University of Technology in China, Professor
JI Zheng-di Central South University of Technology in China, Professor
左 鉄〓 中南工業大学, 教授
鐘 海雲 中南工業大学, 助教授
興戸 正純 名古屋大学, 工学部, 講師 (50126843)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1991年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | レア-ア-スメタル / 溶融塩電解 / 電解精製 / ネオジウムー鉄合金 / グラファイト電極 / 陽極反応 / 希土類金属 |
研究概要 |
〈日本側〉高配位イオン形成効果と電気化学的な還元反応機構を検討した。等モルKClーNaCl溶融塩中において浴中にフッ化物イオンが存在すると、イオンの電気化学的挙動や金属と溶融塩の相互反応へ影響があることが明かとなった。この影響については塩化物イオンのみの浴中の金属イオンがフッ化物イオンが加えられることによってイオン配位状態を変化させるためであると推察した。 ZrとHfについて、Zr^<4+>,Hf^<4+>イオンの電気化学的還元反応は浴中のフッ化物イオンの濃度によって変化し、F^ーを含まない溶融塩中においてはZr^<4+>(Hf^<4+>)の電気化学的還元反応はZr^<4+>(Hf^<4+>)⇒Zr^<2+>(Hf^<2+>)⇒Zr(Hf)の二段階反応であった。これに対してNaFを添加するとF^ーイオン濃度によって変化し、低フッ化物浴においては上述の反応であったが、高フッ化物浴においてはZr^<4+>(Hf^<4+>)⇒Zr(Hf)の一段反応のみが観察された。これは、F^ーイオンが存在することによりZrとHfのイオン状態が、ZrCl_6^<2ー>⇒ZrCl_<6ーx>P_x^<2ー>(HfCl_6^<2ー>⇒HfCl_<6ーx>F_x^<2ー>)のような錯体に変化したためであると考えられる。さらにこれら錯体のうちHf錯体イオンがより安定であった。このフッ化物イオン効果を利用してZrーHf溶融塩中からのZrの優先的析出が可能であった。 LaあるいはNdの析出電位も浴中のF^ーイオンの増加とともに卑方向に移行し、Laにその傾向が大きかった。これを利用して浴中のF^ー濃度とカソ-ド電位のコントロ-ルによりLa,Nd混合溶融塩中からNdを優先的に析出させることが可能であった。 NdーFe合金の電解生成機構を調べるため、Ta、Fe電極上のNdイオンの電気化学的還元挙動を検討し、Fe消耗電極を用いたNdーFe合金電解による、電解諸条件と電解効率、組成、組織などとの関係を調べた。その結果、Ndと合金化しないTa電極の場合とNdと合金化するFe電極についてリニアスイ-プボルタモグラムを測定した結果、ピ-クの数に違いがみられ、Fe電極の場合にはNdーFe合金を生成する反応が起こるピ-クがみられた。そして、Fe電極について浴組成、電流密度あるいは電解温度とNd電解効率を調べた結果、ともに適切な浴組成、電流密度、電解温度が存在していることがわかった。その組成は温度のみによって決まることがわかった。 また、Nd金属あるいはNdーFeを主成分とする合金を電解生成し、そのときのグラファイト電極やカ-ボン電極のアノ-ド挙動について検討した。フッ化物浴中におけるグラファイト電極のアノ-ドサイクリックボルタモグラムを測定した結果、酸素発生に関係する領域(領域I)、不動態領域(領域II)、そして膜の熱分解によりCF_x膜が生成する領域(領域III)よりなっていることがわかった。また、アノ-ド挙動に及ぼす酸化物添加の影響を調べたところ、酸化物の添加によって領域Iの電流量が増加し、領域II(不動態領域)も電位範囲が広くなり、添加酸化物濃度が高くなるにつれて、領域III(CF_4の生成領域)は大きく減少していった。使用溶融塩を予め電解した後のサイクリックボルタモグラムは、Nd_2O_3無添加の基本浴の場合には、予め電解しない場合と比べてアノ-ド挙動に差異はみられないが、Nd_2O_3を添加した浴を予め電解した場合のサイクリックボルタモグラムには大きな差がみられた。 また、グラファイト電極の交流インピ-ダンス測定により、0〜9Vの間に3つの不動態領域が観察された。インピ-ダンス挙動により、CO_x,CO_xF_y,CF_x等の中間生成吸着種に強く影響を受けていることがわかった。そして、グラファイト電極はフッ化物溶融塩電解においてアノ-ド電極として十分に使用できることがわかった。 〈中国側〉中国におけるレアア-スの分離方法は、沈澱法や結晶化法等が効率が低いこと消耗しやすいことなどの欠点を持つため、溶媒抽出法やイオン交換法に変わった。特に溶媒抽出法は、中国の持つ特異な鉱石用も含めて中国独自の様々な抽出剤を開発するなどして改良されてきた。そして、その分離装置も、抽出過程は数百以上の繰り返しを要すため、処理量の少ないレア-ア-スの分離では塔式あるいは遠心式抽出器を用いている。そして、そのようにして得られたレア-ア-スを合金などに添加して材料特性の改善を行っていることがわかった。
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