研究課題/領域番号 |
01045025
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 明 九州大学, 経済学部, 教授 (70037117)
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研究分担者 |
範 繹 北京商学院, 統計系, 助教授
丁 承厚 北京商学院, 会計系, 助教授
張 以寛 北京商学院, 会計系, 教授
大下 丈平 九州大学, 経済学部, 助教授 (60152112)
時永 祥三 九州大学, 経済学部, 助教授 (30124134)
濱砂 敬郎 九州大学, 経済学部, 教授 (70039791)
TOKINAGA Shozo Associate Professor of Faculty of Economics at Kyushu University
FAN Yi Associate Professor of Dept. of Statistic at Beijing Commercial Collage
TING Chenghou Associate Professor of Department at Beijing Commercial College
ZHANG Yikuang Professor of Department of Accounting at Beijing Commercial Collage
范 経 北京商学院, 統計学部, 副教授
劉 恩禄 北京商学院, 会計学部, 教授
藤田 昌也 九州大学, 経済学部, 教授 (70069714)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 中国会計制度 / 経営請負責任制 / 中国監査制度 / 戦略的管理会計 / 統計報告制度 / 物価指数 / 会計情報システム / 経済性監査 / 中国統計 / 中国会計 |
研究概要 |
1・本研究課題の実施期間(3年間)にわたって、経済システムの異なる日本と中国における会計制度、統計制度、情報管理について、その差異と共通性を明らかにするため、両国の企業及び大学、行政機関を実際に訪問し、研究課題に関連する事柄を実際に調査した。また、共同研究者や国内外の研究者との討論、シンポジュウムを通じて研究課題の所期の目的を果たした。さらに、いくつかの新たな認識を得た。 (1)この3年間中国の政治的な激変(「天安門事件」等)のなかで経済システムも必ずしも安定していなく、会計・統計制度の整備、資本主義国との共通化と言うことではその進展は予期したものではなかった。そのなかで、中国的な経営管理システムと会計・統計制度との関連が明らかにされた。例えば、経営請負制と会計制度、市場経済と家計調査、税制の改革と会計等。(2)中国の会計・統計制度にはなお旧ソ連の国民経済、産業経済、企業経済という体系や計画経済的な思考が強く残存しており、これは、また経済の商品化、市場経済への移行と矛盾をきたしている。その意味で、会計・統計制度の改革面に特に注目し、その面の調査を行った。(3)中国のいくつかの先進企業は先端的な情報技術、会計・統計手法を導入しているが、それらはいまだ全体的に統合のとれたネットワ-クを形成するに至っていない。これは、ミクロとマクロとの経済効率を高める上での障害となっている。(3)中国の経済体制改革のなかで合弁企業や株式の公開によって会計や統計の情報が社会的、国際的に強く求められているのであるが、「天安門事件」以後の保守化や広範囲に存在する情報=秘密という考え方は会計・統計制度の近代化を遅らせている。(4)経済資源の配分システムとしては、市場経済でも計画経済でも会計・統計は欠くことのできないものであり、中国では、今なおこの面での近代化が急務であると思われる。 2・シンポジュウムを行うことによって、われわれ日本側研究者は中国の会計・統計、情報管理について具体的で、しかも論理的な次元での知識を獲得し、中国側の共同研究者は、それに先行する日本での実地調査と併せて、日本企業の先進的な会計・統計システムと情報管理体系を理解し、相互の認識を深めた。同時に、今後につながる国際的な専門的な交流の基盤が確立された。 3・3年間にわたる海外の共同研究者との研究課題についての共同研究は、非常に安定的で、奥の深い研究体制を作ることを可能とし、多くの今後進めなければならない新たな研究課題を共同各研究者に提議するものとなった。例えば、シンポジュウムの討論の中で、中国側から日本におけるコンピュ-タとネットワ-クを中心とした会計システムについて多くの質問が寄せられ、会計の役割、在庫管理及び統計調査のあり方との関連で突っ込んだ意見を交換した。これらから、中国でのコンピュ-タの利用は未発達であるが、既に米国式の教育が広く行われており、今後の拡大が期待されることが分かった。そこで、われわれも、今後この認識を踏まえて専門交流を行わなければならない。 4・3年間の調査結果やシンポジュウムの報告については、出版費用の問題があり、すぐには出版できないのであるが、できる限り速い機会に中国語と日本語で同時に出版するよう考えている。特にシンポジュウムの報告書は今回の研究課題の総括でもあり、北京商学院の協力を得て、中国語と日本語で同時に出版する。 5・今後は、さらに相互に異なる諸条件を考慮し、どの様な制度が最適かを共同研究すると共に、国際的な基準に中国はどの様に接近すべきかを共同で研究することになろう。その意味で、日本側の共同研究者は、さらに日本の会計・統計制度の発展過程とその特質を正しく分析しておかなければならないことを認識した。
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