研究課題/領域番号 |
01045030
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
渋谷 健 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074479)
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研究分担者 |
渡辺 泰雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (70183720)
松田 宏三 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074651)
佐藤 勝彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (00133372)
SALAFSKY B. Univ. of Illinois, College of Medicine at, Director P
SALAFSKY Bernard Director & Professor, University of Illinois, College of Medicine at Rockford
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 脳神経細胞 / Ca^<2+>チャンネル / 有機性Ca^<2+>拮抗薬 / 緩和ストレス / 抗不安作用 / 加齢 / 自然発症高血症ラット / 培養小脳顆粒細胞 / Caイオンチャンネル阻害薬 / グリア-神経間相互作用 / グリア細胞定量法 / グルタミン酸 / グリシン / 初期培養ラット小脳顆粒細胞 / 中枢薬理効果 |
研究概要 |
脳内イオンチャンネルの中でも、殊に、細胞内あるいは細胞間情報系の調節に重要な役割を果たしているとするCa^<2+>の変動を検索することに焦点を絞り、しかも、その変動調節機構の一つでもある電位依存性Ca^<2+>チャンネルに作用機序を有する有機性Ca^<2+>拮抗薬を薬理学的マ-カ-として本研究目的を追究した成績を総括する。 A)緩和音刺激を伴う未知環境誘発ストレス負荷動物における一般行動と脳内Ca^<2+>の変動:比較的穏やかなストレッサ-として85dBの音刺激と未知環境を併用した状態下で自然発症高血圧ラット(SHR)と、その対照動物としてのWistar系ラット(WKY)の自発運動量を計測し、さらに、自発運動量亢進時におけるCa^<2+>の脳神経細胞内への流入量、並びにCa^<2+>チャンネル活性の変動を比較検索した。すなわち、1)SHR及びWKYのいずれにおいても、緩和ストレスにより自発運動量の亢進が認められた。しかしながら、ストレス開始30分以内で観察される自発運動量の亢進の程度は、統計学的解析からも、SHRでより明確な増量が認められた(p<0.01)。2)SHR及びWKYの自発運動量亢進時には、脳内、殊に、大脳皮質前頭葉並びに海馬での神経終末粗分画へのCa^<2+>流入量の明らかな増量が、 ^<45>Caを用いた研究法から確認された。しかも、この増量はSHRにおいて、WKYより増強された結果(p<0.02)が得られた。B)緩和音刺激を伴う未知環境誘発ストレス負荷動物に及ぼすnitrendipine並びに2種抗不安薬の影響:電位依存性Ca^<2+>チャンネルの特異的阻害薬であるbenzodiazepine系diazepam並びに5ーHT_<1A>系tandospironeの10日間連続投与により、SHRの緩和ストレス誘発自発運動量の亢進を著明に抑制した。しかも、これらの薬物投与によりSHRの自発運動量亢進時に観察された皮質前頭葉の ^<45>Ca量流入増加は、著明に抑制された(p<0.02)。さらに、Ca拮抗薬あるいは抗不安薬のいずれもの投与により、 ^3HーPN200ー110を指標としたradio receptor assayから求められたKd値には変動が見られなかったが、大脳皮質前頭葉並びに海馬におけるBmax値は、緩和ストレス処置群と比較して統計的に有意な減少が認められた(p<0.05)。これらの結果から、緩和ストレス下では、殊にSHRで大脳皮質前頭葉や海馬の神経細胞に存在するCa^<2+>チャンネル活性増加による細胞内へのCa^<2+>流入量増量に伴う著明な自発運動量の亢進作用が生じる。しかも、いずれの増加もCa拮抗薬であるnitrendipineのみならず異なったタイプの抗不安薬の連続投与により統計的に有意な抑制が認められることから、緩和ストレスにより脳内Ca^<2+>は細胞外から細胞内への流入を増量することが明らかとなった。さらに、この際生じる自発運動量の亢進は、一種の不安状態から誘発され、抗不安薬にもCa拮抗作用を有することが示唆される。なお、以上の結果に関しては、Neurosci Res,1991及びNeurosci Res Comm,1991に発表した。C)培養脳神経細胞系による脳内Ca^<2+>チャンネルの生理機能の検索:中枢神経系と末梢血管系とに存在するCa^<2+>チャンネルの性質を比較する目的で、蛍光Ca^<2+>指示薬を用いて高K脱分極による培養小脳顆粒細胞での細胞内Ca^<2+>濃度の変動に対する各種Ca拮抗薬の阻害効果を指標として検索した。それぞれのCa拮抗薬の50%阻害値(IC_<50>)を算出すると、flunarizine0.88±0.35,nicardipine4.50±0.50,nifedipine30.60±5.15,verapamil11.40±1.82,diltiazem23.30±2.90であった。これらの結果と 以上の結果は既にNeurosciences,1991及び薬理と治療,1990に掲載した。これまでの成績を総括すると、脳内Ca^<2+>チャンネル活性はストレスにより増強され、しかも、その増強の程度は加齢により亢進することが示唆された。
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