研究課題/領域番号 |
01050023
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研究種目 |
核融合特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
澤田 昭三 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60034625)
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研究分担者 |
田中 公夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
佐藤 幸男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034634)
美甘 和哉 旭川医科大学, 教授 (10002221)
嶋 昭紘 東京大学, 理学部, 教授 (60011590)
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034618)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
1989年度: 24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
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キーワード | 線量率効果 / 細胞のがん化 / 突然変異 / 染色体異常 / 細胞致死 / 有機結合トリチウム / RBE / 小頭症 |
研究概要 |
低濃度のトリチウム水(HTO)による長期被曝の生物学的影響を調べることが今年度の当研究班の主目的であるが、線質係数の決め手となる確率的影響(発がん、遺伝的影響)におけるHTOの線量率効果を明らかにすることは放射線防護上きわめて重要である。 実験結果を大別すると3つにわけられる。(1)HTO・β線は基準放射線のガンマ線に比べてLETが高いので、両放射線の線量率を下げると、ガンマ線の方が効率がよく損傷の修復がおこり結果としてβ線のRBEが大きくなることが期待される。予想通りの結果が得られたのはマウス10T1/2細胞のがん化とV79細胞における小核形成だけであった。(2)両放射線で線量率効果は認められたが、緩照射でもβ線のRBEは大きくならなかった。このような結果になったのはゴールデンハムスター胚(GHE)細胞のがん化率、マウスm5S細胞におけるがん化率と突然変異率、及びヒト皮膚細胞の致死率でこのうGHE細胞は急照射でもRBEが1以下だったので緩照射でRBEに変動がなくても不思議はない。(3)線量率を下げるとRBEも小さくなるという全く予期しなかった結果が得られた。ヒト末梢血リンパ球の染色体異常は緩照射ではガンマ線よりもβ線においてより顕著な線量率効果が現れ、結果としてβ線のRBEは2.6から1.1に下がった。マウスの毛色の変化を指標とした突然変異率のRBEも緩照射で小さくなったが、照射方法に問題があった。その他、ヒト精子染色体及び骨髄細胞CFUーEに対するガンマ線の線量率効果はほとんどなかったがメダカの精子細胞の突然変異率は緩照射で若干低下した。また27cGy照射されたマウスの発がんではβ線のRBEは1.1、マウス胎仔における小頭症のRBEは1.4〜2.7マウス精原細胞の突然変異では2.3のRBEが得られている。さらに有機結合型トリチウムはHTOに比べてマウスの胚発生に対する効果が5〜20倍高いことがわかった。
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