配分額 *注記 |
214,000千円 (直接経費: 214,000千円)
1991年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1990年度: 48,000千円 (直接経費: 48,000千円)
1989年度: 150,000千円 (直接経費: 150,000千円)
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研究概要 |
元素生成時に存在した原始テクネチウムが現在も現存する直接の確認はほとんど不可能と断定された。しかし,元素生成の当時には必ず_<43>Tcが存在したはずである。その消滅核種効果の実証に研究の重点がおかれた。テクネチウムの原子番号は43であり,Tc-97の半減期は3×10^6年(EC),Tc-98の半減期は4×10^6年(β^-)である。従って,消滅核種の単純な観点からは,_<44>Ruと_<42>Moの同位体比を精密に測定することが直接的なアプローチであるが,半減期の効果と原子番号43近辺の複雑な核合成過程の解明には,_<40>Zrの同位体比の精密測定も重要である。何れの場合も、微量元素であり、化学的高純度分離法と高感度高精度質量分析の開発が必須かつ困難な課題であった。Ru,Mo,Zrの同位体組成について次の結果が得られた。〔Moについて〕地球物質中のMoの同位体比の変動は小さかったが、隕鉄中ではかなりの変動が見られた。それらの変動の相互関係が元素合成の過程をよく反映していることが初めて明らかになった。Tcの消滅核種の効果と考えられる例が一例だが見出された。〔Zy〕この元素は、地球試料中でも同位体不均一性が保持されているいう重要な事実が明らかになった。〔Ru〕この元素の化学分離と質量分析は最も困難で多くの時間を要した。我々の測定値は、^<98>Ruについて有意な変異を示すと解釈できるが、事が重要なだけに、さらに慎重な測定を繰り返すことが望まれる。宇宙始原物質として極めて重要な隕鉄からの高収率,高純度でのRuの分離には更に工夫を要する。数値解析用の効率的プログラムを開発した。以上の研究に関連して、次の重要な副産物が得られた。(1)^<96>Zrの二重ベータ壊変の半減期を地球化学的手法で得た。(2)特にO^<16>を濃縮した酸素をbleedingして質量分析を行う新手法を開発した。(酸素同位体の補正が実質的に不要となる。)(3)Re-Os年代測定法の飛躍的改良。Tc消滅核種の問題がしぼられ、各種隕石中の研究の発展が有望である。
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