研究課題
本年度は最後のまとめの作業を行った。22の分野別グル-プに分かれて候補を選び、6人で構成される調整委員会で採否を一語ずつ検討してきたが本年度はほとんどこの作業を行った。調整委員会を毎月2〜3回開き、その結果を分担者および協力者全員に報告し、それに対する意見を求め、異議のあったものについて再度検討するという形で進めた。最終的には4千近くの語が採録された。作業を通じてとくに問題となったことがらは次の通りである。1.学術用語と日常用語あるいは実践用語の区別が困難な語が多い。教育という分野の性格によるところが大きいが、一方で教育学が学術用語を積極的に作ってこなかったという問題もある。たとえば「落ちこぼれ」ということばは非常に頻繁に使用されるが、これを学術的とみなすかどうかは判断が分かれるところである。2.学術用語と行政用語の区別もまた困難である。教育法学あるいは数育行政学で用いる語には行政用語が必然的に含まれる。しかも実際の教育行政の場面で多様されて十分に定着。普及しているものが多い。どこまで採録するかという基準を明確なものにすることはたいへん困難である。3.歴史上の語で現在は使用していないが、教育の歴史を考える上では欠かせない語をどこまで採録するかについて、困難を感じた。たとえば「寺子屋」は現存しないが、近代以前の日本の教育の大きな部分を担った存在であり、これを欠くことはできない。教育に限らず歴史的研究が大きなウェイトを占める分野では、このような語をかなり含んだ用語集になるものと思われる。