研究概要 |
都市化にともなって地下水循環,積雪,農業用水,水代謝系が変化し,水文循環に変化を来している。都市域においては,降雨ー蒸発散ー浸透ー地下水涵養ー流出の自然的循環系が分断され,環境問題となっている。本研究では,日本の代表的な都市として,東京,大阪,名古屋,札幌,北九州等を取り上げ,以下の項目について研究を行った。なお本研究の成果を1989年8月28日〜31日の期間に開催されたIHP名古屋国際会議「都市域における水の管理と保全」にて発表した。 1)日本の都市域における総合的な水管理の歴史と現状についての研究 2)積雪の水循環に及ぼす効果についての研究 3)地下水の水循環への効果を,長期変動分析により解明 4)農住混在地域における都市化,農業近代化に伴う用排水管理 5)利水システムの安全度の評価について 6)都市系の再循環ル-トを組み込んだ水代謝 7)都市化に伴う流出機構の変化について *都市化過程での水管理を淀川流域等での現地調査を基礎にして考察し,近代化を先行的に進めてきた地域での都市化は,近代かを進め得なかった地域での都市化と比べて水管理がきわめて良好であることを確認した。 *地下水の水循環への寄与では,地盤の特性により異なっており,東京では過剰揚水が地盤沈下を引き起こし,地下水管理の必要性を指摘した。 *利水安全度では,安全性,回復力,深刻度の3要素を考慮して評価を行い,望ましい利水システムを構成した。 *研究を総括して水循環の蘇生と創出の観点から都市の水辺空間のあり方を検討した。
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