研究課題
本総合研究の目的は、わが国の大学、短期大学、高等専門学校における情報処理教育の実態を調査分析し、諸外国の資料も参考とし、今後あるべきカリキュラム、教育方法、施設設備などについて具体的提案を得るための調査研究を行うことである。本研究は2年にわたって、基本的資料の収集とそれに基づく検討を行った。即ち、(1)コンピュ-タサイエンス(CS)、(2)情報システム(IS)、(3)一般情報処理教育に分け、それぞれの基本問題である、コアとなるカリキュラム、新しい情報処理のための教育体制、すべての学生が身につけておくべきコンピュ-タリテラシ-等について検討することにした。そのため本委員会は三つの作業グル-プを設け、集中的にこの問題を審議した。GSに関しては、AGM(米国計算機学会)のモデルカリキュラム案Curriculum'78や、報告'88を徹低的に検討し、その知見をもとに、わが国独自の関する前年度までの検討結果をもとに、わが国独自のカリキュラム案IPSJ CSカリキュラムJ90を作成した。また、カリキュラムの評価方法を提案した。さらに、実験・実習のテ-マ例、情報系専門学科の卒業生なら誰でも見についているべき素養・能力を問う試験問題の例を収拾・作成した。ISに関しては、教育の考え方自体が国際的にも新しいテ-マであるため、情報システム技術者に要求される基本問題から考察し、情報システムの新しいモデル化と、ISのための教育体制を提案した。一般情報処理教育に関しては、カリキュラムや時間割の中に枠を作ったり施設・設備を充実したりするための方策などの制度上の問題から、さまざまな分野の学生に共通に教えるべき最小限のことがらは何かという内容の問題に至る広範囲の問題を検討した。カリキュラムの検討は永続的に行うべきであるが、本研究により、今後の検討のための基礎的知見が得られた。
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