研究分担者 |
久保 いづみ 創価大学, 生命科学研究所, 助教授 (40214986)
松岡 英明 東京農工大学, 工学部, 教授 (10143653)
宮野 健次郎 東京大学, 工学部, 助教授 (90167677)
英保 茂 京都大学, 工学部, 教授 (40026117)
渡邊 定元 東京大学, 農学部, 教授 (30182918)
和田 昭允 東京大学, 理学部, 教授 (10011462)
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研究概要 |
高性能リモ-トケミカルインタ-フェイスの系として植物間のケミカルコミュニケ-ションに注目し,特に実験系としてシラカンバ間のケミカルコミュニケ-ションを取り上げた。シラカンバについては冬芽精油成分中の揮発性化学物質がケミカルコミュニケ-ションに関与していることが示唆されていた。まず,ゲラニオ-ル等の一部のアルコ-ルが高濃度ではシラカンバ種子の発根を阻害し,低濃度では発根を促進する現象を見い出した。さらに,種子自身からも発根調節物質が放出されているのではないかと考え,揮発性及び水溶性の種子抽出物の発根への影響を調べた。相互作用のない単独種子の場合と比べ,相互作用のある多数播種の場合は,早い時期に高い発根率が認められた。また,水溶性成分については,シラカンバ種子から抽出された4成分のうち,2成分に関して発根への影響を調べたところ,対照に比べて発根開始時間を9〜12時間遅らせる効果があり,また最終的な発根率も対照を下回った。このように,種子間のケミカルコミュニケ-ションが確かに存在していることは示されたが,個々の化学物質の同定や,濃度の定量には至らなかった。 特に揮発成分に関しては,従来からのガスクロマトグラフィ-のような方法では,逐次分析が困難であるためsurface acoustic wave(SAW)デバイスによる検出系の確立を試みた。第一に,SAWデバイス上を各種脂質で被覆することにより,低分子アルコ-ルやアルデヒドを数10ppm 以上で検出できるという成果を得た。次に,膜脂質をLB膜化して配向させてSAWデバイスを被覆することにより,数ppm以上で検出が可能となった。また,被覆する膜脂質の種類ごとに個々の化学質への応答が異なることから,複数の膜脂質被覆デバイスの応答パタ-ンで,化学物質の同定も可能となる見通しを得た。
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