研究課題/領域番号 |
01301007
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宍戸 直 山形大学, 人文学部, 教授 (10006835)
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研究分担者 |
森 美智子 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (40142898)
森 雅彦 宮城学院女子大学, 学芸学部, 助教授 (90137612)
元木 幸一 山形大学, 教養部, 助教授 (10125669)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | パトロネ-ジ / オフィシャル・ア-ト / 都市美術 / 宮廷美術 / 芸術政策 / 公共芸術 |
研究概要 |
本研究は、芸術とパトロネ-ジの芸術社会史的研究を目指したものである。殊に政治的権力を支える社会的行為としてのオフィシヤルなパトロネ-ジの役割を、中世末から19世紀に至るヨ-ロッパ美術史の中で分析し、その発展を解明しようとした。 中世においては、オフィシャル・ア-トの性格はそれほど明瞭ではない。元木は、中世末期の多様な宮廷肖像画の機能を分析することによって、この時代のオフィシャル・ア-トの曖昧性(公領域/私領域)を指摘し、宮廷肖像画を「政治的ー文化的装置」として位置づけようとした。このような曖昧さは、近代性を帯びるに従い解消される。宍戸は、ルネサンス、イタリアの都市共同体的性格を、フィレンツェとシエナの都市公共美術の中に明確に分析した。ここに近代的意味でのオフィシャル・ア-トの萌芽を読み取ることも可能であろう。バロック期の絶対主義王政の誕生とともに、オフィシャル・ア-トは、権力の装置としてのプロパガンダ機能を強化する。森美智子は、当時の「力の隠喩」としての寓意的肖像画に対立する、ベラスケスの非寓意的な『フェリ-ペ四世像』を、スペイン独特の国家理念によって解釈し、加えて、画家と王の極めて親密な関係に、理想的なパトロネ-ジの一型式を見る。近代においてオフィシャル・ア-トはイデオロギ-の担い手となる。森雅彦は、殊にそのイデオロギ-的側面を強調しながら、19世紀フランスのオフィシャル・ア-トの政治的機能を検証した。 これら諸研究により、オフィシャル・ア-トの広範な展開とその機能が具体的に解明されたものと考える。さらにこのような芸術社会史的研究は、作品をめぐる創造と受容の問題に直面する。そのような問題意識の下で、いずれ、美術教育、コレクション、美術館など美術制度の問題を次なる課題とせねばならないだろうと考えている。
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