研究分担者 |
松本 康 名古屋大学, 文学部, 助教授 (80173920)
小林 良二 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (10137010)
金子 勇 北海道大学, 文学部, 助教授 (50113212)
岡本 英雄 上智大学, 文学部, 教授 (20119126)
森岡 清志 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (50125358)
園部 雅久 上智大学, 文学部, 専任講師 (00154716)
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研究概要 |
本研究の目的は,相互扶助システムから専門処理システムへの移行過程を,伝統消費型都市を対象地として調査し解明することにある。このため山形市を対象に,タイプの異なる4町を選び,4町に居住する世帯全部,具体的には世帯主全員を対象者として個別面接調査を実施し,またこれと平行して町内会長,団体役員,市役所職員等からの聴取調査も実施した。調査項目で特に重視されたものは,職歴・居住歴,パ-ソナルネットワ-クと町内における世帯間関係である。 調査結果の分析に先行して,日本の地方都市把握の方法について吟味する研究会がもたれた。町別に社会層の構成を明らかにし,住民の移動歴と関連させながら,町内役職者層の属性を把握しまた世帯間関係を明らかにすることが重要と判断された。分析もこの点に留意しておこなわれている。 分析結果,4町ごとに社会層構成と住民の居住歴(移動パタ-ン)が著しく異なることが明らかにされた。自営業主層が集住し土着者率の高い銅町,上層ホワイトカラ-が集住し流入者率の高い緑町,他の町と比較してステップ流入者が多くブル-カラ-率の高いやよい,土着者率とUタ-ン率が高くさまざまな社会層の住民が混住する三日町に色わけされる。この特色に対応して町内組織の実態と役職者層の属性を4町ごとに異なっている。また相互扶助の程度や世帯間関係にも影響を与えている。世帯間関係のクラスタ-分析では,4町ごとに近隣クラスタ-を析出しているが,町内役職者層をクラスタ-中心に比較的強固なつながりを示す銅町と,これとは対照対照的にクラスタ-内の結びつきの弱い緑町の姿が浮きぼりになっている。伝統消費型都市の研究においては,社会階層の単なる上下ではなく,移動歴ともからめた社会層把握が重要であることを示唆する結果となっている。
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