研究分担者 |
服部 正治 立教大学, 経済学部, 助教授 (10156359)
高橋 和男 立教大学, 経済学部, 助教授 (30097224)
玉置 紀夫 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80051621)
熊谷 次郎 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (30047972)
杉山 忠平 東京経済大学, 経済学部, 教授 (50021837)
栗田 啓子 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (80170083)
小林 昇 大東文化大学, 経済学部, 教授 (10062390)
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研究概要 |
経済学はどのように形成され,どのような相互的影響を経て,各国にどのように波及したか,本研究は以上のような課題を解明することを目的として,以下のことを知りえた。1.市民革命以後産業革命を経つつ形成されたイギリス経済学は各国の経済学の共通の源泉であったが,そのイギリス経済学の各国での受容と対抗のうちにこそ,各国の経済学の展開の特質がみられる。そのことを津田の栗田はフランスの産業主義,小林と一條はドイツの歴史主義,奥田はイタリアの啓蒙的経済学,高橋はアメリカの保護主義の問題として分析した。2.またイギリス経済学自体が各国の近代化や生産力の高まりをうけて,これに対抗すべく経済学の自己革新を迫られた。そのことについて服部はイギリスの土地所有,農業問題をドイツでの関税改訂との関連で,西沢はイギリスの歴史学流の登場をバ-ミンガムでの経済学の「制度化」の問題との関連で分折した。3.各国の経済学はそれぞれなんらかの形で市民革命と産業革命の動きを反映するものであり,それぞれの状況に応じて経済学の領域を拡げつつ,啓蒙としての経済学から経済学の啓蒙ないし「制度化」をめざして,その実践的性格を強めて行った。この点を日本について,杉山は日本のナショナリズムと黎明之期の実業教育の実態を解明し,熊谷はマンチェスタ-流の『東京経済雑誌』への影響を調査し,玉置は日本における外国銀行の研究がスコットランド銀行の研究に頁うところ大であることを,その中心人物がアドナ-に即して究明した。4.これらの問題はまた,総じて経済学における先進性と後進性を軸とする対抗的影響の関係という別の視点からさらに個別に精密な分折を行ない,それらの分折結果を,以上の視点から再整理する必要を痛感させるものである。
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