研究分担者 |
山根 國男 筑波大学, 生物科学系, 教授 (20013336)
南浦 能至 大阪市立大学, 理学部, 教授 (20047129)
桧作 進 鹿児島大学, 農学部, 教授 (90041590)
小巻 利章 福山大学, 工学部, 教授 (00205501)
不破 英次 福山大学, 工学部, 教授 (00046765)
北畑 寿美雄 大阪市立工業研究所, 研究主任
谷口 肇 農水省, 食糧総合研究所, 室長
溝上 恭平 福山大学, 工学部, 講師 (00200030)
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研究概要 |
澱粉は人間のみならず多くの生物のエネルギ-源である。また人間社会では澱粉はエネルギ-源としては勿論,種々の食品の加工に,また種々の産業素材として利用されている。他方澱粉は容勿に年々再生産可能な資源で,これのさらなる応用途の開発が種々観点から期待され,また行わなければならない。しかし澱粉の構造,その分子集団乃至澱粉粒の物理的,化学的,物理化学的性質についてはなお未知の点が多い。 本総合研究では,澱粉の構造,生合成,分解などについて化学的,酵素化学的,遺伝学的見地から研究を行って次のことを明らかにした。 すなわち,澱粉及び澱粉の構造については,まず澱粉粒表面の構造は必ずしも均一ではないこと,これはトウモロコシ,コメ澱粉で顕著で,例えばそれらの澱粉粒の比較的特定される面のみがグルコアミラ-ゼにより,ピンホ-ル状に集中的に攻撃されることが認められ,一方これらの澱粉粒は糖化型αーアミラ-ゼにより洞穴状を呈しながら分解されたが,澱粉一粒当りの洞穴は数個しか認められないことから,これら澱粉粒は少なくとも組織密度乃至それらのアミラ-ゼによる被分解性に於て構造的に不均一なことが證ざれた。また澱粉の主構成成分アミロペクチン中,B鎖は平均2本のA鎖を有するが長いB鎖程多くのA鎖を有し,必ずしも均一構造ではないなどから澱粉粒の物理的・化学的全体構造がかなり明かになった。澱粉乃至澱粉粒の構造研究目的のため,種々のアミラ-ゼが新たに発見され,中にはプルラナ-ゼ作用を併有するαーアミラ-ゼも見出され,またそれらの酵素の遺伝子の幾つかはクロ-ニングに成功して酵素の全構造が解明された。他方,新規な酵素によるマルト-ス製造法,或はαーアミラ-ゼのみによる澱粉からのブドウ糖の製造法,シクロデキストリンの酵素による物性の改変や化学修飾による研究でグルコアミラ-ゼの活性構造など本総合研究で解明された。
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