研究分担者 |
田辺 達三 北海道大学, 医学部, 教授 (50000956)
小柳 仁 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90138884)
藤村 重文 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (40006078)
古瀬 彰 東京大学, 医学部, 教授 (70010163)
富田 正雄 長崎大学, 医学部, 教授 (70039808)
川島 康生 大阪大学, 医学部, 教授
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研究概要 |
欧米では400例を超す肺,心肺移値が行われたが,免疫抑制剤の進歩にも拘らず拒絶により死亡する例がある。近い将来我国においても肺,心肺移植が可能となるが,拒絶例を生じさせないため各種の基礎的実験を行った。先ず我国では臓器移植制度の完備していない現状から,肺,心肺の長時間保存が検討された。EC液を用いた保存で6時間までは活生力のあることは認められているが、更に保存時間を延長すべく,EC液にCa〓拮抗剤,抗酸化剤であるSOD,CoQ10を添加して12〜24時間保存の可能性がえられた。心肺保存では阻血再潅流障害が肺血管外水分量の増加によって発生する。これを抑制するため補体活性剤であるFUTー175の投与及び白血球除去血液潅流が有効であった。脳死より臓器がえられない現在,心停止後の臓器移植も一つの方法である。心停止前にヘパリン,プレドニゾロンを静注することにより,心停止2時間後摘出肺で24時間保存の可能性がえられた。移植肺の生理学的,免疫学的研究にラット肺移植が行われるが,手技の改善により手術時間,阻血時間の短縮及び生存率の向上がえられるようになった。また胸腔内心肺移植モデルのための手技も開発された。拒絶反応の早期モニタリングとしてラット,犬,ニホンザル移植肺の肺胞洗浄液中の総細胞数,細胞分画,リンパ球のCD_4/CD_8などの測定,ドナ-特異的障害性Tリンパ球活性,抗ヒト白血球モノクロナ-ル抗体を用いた免疫組識化学染色が応用された。免疫抑制剤CYAとFK506,OSGの効果が比較され、後二者も有効性が認められた。気管、気管支吻合部の創治癒を気管支動脈粘膜下再生の状態でみるために,螢光法による内視鏡観察,レ-ザ-,ドプラ-による血流測定を行い,吻合部の治癒判定が有効であることを認めた。最後に将来の臨床応用の指針として、肺・心肺移植マニュアルを刊行した。
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