研究概要 |
本研究は,関東平野とその周辺地域において強震観測にも耐え得るやや長周期地震動を群列観測する観測網を整備すること,地震の震源特性と関東平野の地下構造に基づくやや長周期地震動の評価手法を開発し,解析結果と観測結果との対比を行うこと,最終的にはやや長周期地震動の予測手法を確立し,同地域で考慮すべきやや長周期の強震地動についての提言を行い,観測記録の広域利用のためのデータベースの確立を行うこと等を研究目標として掲げ,平成元年度から4年間に亘って継続実施されてきたものである。 まず「関東平野とその周辺地域におけるやや長周期地震動のアレー観測」では、新たに2つの観測点を増設することによって既存の地震観測網を補強し,この地震観測網による地震動観測結果の整理を行いつつ,地震動記録のデータベース化を試みた。 次に「やや長周期地震動の特性に関わる関東平野の地下深部構造の評価」では,関東平野における地下深部探査の結果をまとめ,やや長周期地震動の特性評価のための地盤モデルを作成し,その特徴についての議論を行った。 また「関東平野におけるやや長周期地震動の生成メカニズム」では,関東平野南西部および中央部で卓越するやや長周期地震動や,熊谷周辺地域にのみ顕著に現われるやや長周期地震動について,地震動観測記録と地盤モデルに基づく検討を行い、同地域におけるやや長周期地震動の生成・伝播のメカニズムを明らかにすることができた。 さらに「やや長周期地震動の評価と予測」では,南関東地震を対象としたやや長周期地震動の特性予測を試み,その過程で生じた問題点や今後実務面への応用を考える際の課題についての提案を行った。
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