研究課題/領域番号 |
01430005
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西田 進也 北海道大学, 理学部, 教授 (40029400)
|
研究分担者 |
今井 敏郎 北海道大学, 理学部, 講師 (80184802)
村上 正志 北海道大学, 理学部, 講師 (60002375)
辻 孝 北海道大学, 理学部, 助教授 (20029482)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
28,000千円 (直接経費: 28,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 26,000千円 (直接経費: 26,000千円)
|
キーワード | シクロプロパンのスピロ活性化 / 小員環の開環反応 / 環化付加反応 / シアノ基の窒素の求核攻撃 / TCNE / 酸化電位 / イオン化ポテンシャル / カチオンラジカル / スピロシクロプロパン / スピロ活性化効果 / 転位反応 / シクロプロピルエチレン / クロラニル / 共役ジエンの1,2ー還元 |
研究概要 |
パイ電子系とスピロ結合を介して共役しているシクロプロパン類が電子欠損オレフィンとの反応において容易に開環を伴った生成物を与えることを、スピロフルオレンにつづいてスピロインダン、スピロインデン、スピロヘプテン、スピロヘプタジェンについて明らかにした。基本的な反応経路は〔π2+2π〕、および〔π2+σ2〕環化付加反応であったが、基質上の置換基によっては、特異な反応生成物を与えた。特筆すべき結果の一つは、スピロ〔2.4〕ヘプター4,6ージェンにおいて3員環がさらに2つのペンダントシクロプロピル基によって置換されていると、DielsーAlder反応に競合して大幅な骨格の異性化を伴う特異な反応が起ってイミンが生成することを見いだしたことである。同様な反応はスピロインデン誘導体においても起こり、ビニルシクロプロバントTCNEの反応を検討するにあたって今後とも考慮に入れるべき興味深い反応である。 特筆すべき成果の他の一つは、スピロヘプタン、スピロスプテン誘導体においてはその3員環上の置換基がそれらの酸化電位とイオン化ポテンシャルに対して電子効果を及ぼすのに対して、スピロヘプタジェンでは殆ど置換基効果が見られないことを見いだしたことである。これは不飽和5員環カチオンラジカルの構造との関連において興味深い結果である。その他、スピロフルオレン誘導体とTCNEの反応の立体化学的挙動、ジフェニル置換スピロフルオレンの反応挙動などをも検討した。これらの検討の結果は、シクロプロパンのスピロ活性化の要因に関する重要な基礎的知見を与えた。さらに、1,2ージシクロピルエチレンとTCNEとの熱反応、あるいはクロラニルとの光化学反応においても〔π2+σ2〕環化付加反応が起こることを見いだした。特に最後の結果は、シクロプロパンの開裂を伴う反応はカチオンラジカル種を経由していると考える従来の仮説に裏付けを与えている。
|