研究概要 |
1.ルテニウム(III)複核および関連錯体の ^<99> Ru NMR これまでに全く報告例の無いRu(III)の ^<99> Ru NMRを,7種の化合物について測定した。化学シフトに及ぼす酸化状態,配位原子種,金属間結合などの影響について新しい知見を得た。 2.カルボン酸イオン架橋多核錯体の合成と性質 Pt,Mo,W,Ru,Re,Cuなどについて合成研究を行い,20種を越える新化合物の合成に成功した。また,既知化合物を含め,諸性質と多核構造との関連を調べ多くの知見を得た。主な成果は次のとおりである。 (1)酢酸ジアニオンが炭素で配位しためずらしいPt(III)複核錯体を合成単離した。 (2)ピラジン架橋Ru三核クラスタ-の2量体系において,三核クラスタ-ユニット間に“混合原子価状態"を発現させることに成功した。 (3)架橋カルボン酸をバリンなどのアミノ酸に置換した錯体を,Ru複核およびMo三核錯体について合成単離した。 (4)二核化N_4大環状配位子を含む7種の新しいCu(II)複核錯体について磁化率の温度変化の挙動と複核骨格構造との関連を明らかにした。 (5)COをタ-ミナル配位子にもつRu三核錯体について,新しい光置換反応を見出し,その挙動と合成反応への応用について研究した。 (6)金属間に三重結合を持つジオキソ架橋Re(IV)複核錯体の合成に成功した。高原子価状態にありながら金属間結合をもつ診しい系である。 3.Ru三核錯体を含む高分子錯体の合成と機能開発 多彩な酸化還元挙動を示すことがわかっているカルボン酸架橋Ru三核錯体と4ーポリビニルピリジンを反応させ,6種の新しい高分子錯体の合成に成功した。グラッシ-カ-ボン電極上に薄膜として被覆した修飾電極は、水溶液中ある条件下では、可逆的redox応答を示した。
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