研究概要 |
《山下》:高等動物の分泌する脂質に,コミュニケ-ション作用があることから,その成分の分析,構造の解析をヤギ,ヒツジ,ニホンシカ,ニホンカモシカについて行った。それぞれの動物に特有の脂肪酸の存在を認め,それらの生合成経路,生合成部位,立体化学について,有機合成を中心とした手法により研究を行った。 《伊崎》:種々の微生物培養液について,放射能で標識したミリスチン酸を用いた脂質画分への取り込み阻害作用,グラム陰性細菌を特異的に阻害する抗菌性物質の検索等により,細菌表層脂質阻害剤の検索を行った。また,グラム陰性,絶対嫌気性細菌の生育を特異的に抑える脂質合成阻害剤チオラクトマイシンの作用機作について研究を行った。《安元》:魚類の大量斃死をもたらすことで知られる代表的な赤潮プランクトン(Prymnesium parvum,Gymnodinium nagasakiense,Chrysochromulina polylepis,Gyrodinium aureolum)の魚毒性・溶血性脂質群の検索を行い,高度不飽和酸と数種のグリセロ糖脂質を同定した。また新規物質としてフィト-ルとグリセロ-ルのスルホン酸誘導体がエ-テル結合した化合物が得られた。《大類》:細胞表層糖脂質中のシア-ル酸,KDOの水溶液中での立体配座をNMRを中心とした手法により明らかにした。単糖では分子内水素結合が重要であり,シア-ル酸の(2ー6)結合部位もグリコシドアクセプタ-の糖の種類に依存した立体配座をもち,これが生理活性に重要な鍵を握っていることを明らかにした。《松田》:植物表面に存在する普遍的なワックス成分である直鎖のアルカン,アルコ-ルおよび酸に対する6種のハムシの摂食反応を調べた。そのうちウリハムシモドキがC_<21>〜C_<25>とC_<30>〜C_<33>のアルカンに,イチゴハムシがC_<31>〜C_<35>のアルカンおよびC_<24>〜C_<26>の酸に,サンゴジュハムシがC_<27>〜C_<31>のアルカンに,ヨモギハムシがC_<22>〜C_<24>のアルコ-ルに摂食を刺激された。
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