配分額 *注記 |
27,400千円 (直接経費: 27,400千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1989年度: 14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
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研究概要 |
内耳有毛細胞は機械エネルギーのトランスデューサー細胞である。聴覚・平衡覚の情報を電気信号に変換し,シナプスを介して中枢神経系へ信号伝達する。さらに中枢神経系から遠心性の抑制性シナプス支配を受けている。本研究はこうした求心性シナプスおよび遠心性シナプスの性質を明らかにする事を目的としたものである。研究手段として蝸手器官の切片標本を用いる事を当初計画としたが,研究成果報告書に詳しく記載したように,切片標本でのシナプス電位の解析を成功させるには至らなかった。しかしながら,内耳器官の切り出し標本を新たに開発し、樹状突起様シナプスと杯様シナプスとで,シナプス電位の性質が異る事を明らかにした。更に,既に確立した標本でもある,単離した有毛細胞を用いて,有毛細胞への遠心性シナプス機構の詳細を明らかにできた。ここではアセチルコリンが神経伝達物質として作用し,細胞内Caイオン濃度を上昇させKチャネルを開く事により膜過分極を生ずる機構を明らかにした。求心性シナプスでは,同様に単離した有毛細胞を用いて,膜脱分極を加える事により,神経伝達物質を放出させ,検出系として用いた培養神経細胞によって,ほぼグルタミン酸が放出されている事を示すことができた。一連の研究によって,有毛細胞でのシナプス現象の解析に大きな進展を遂げる事ができたと考える。
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