研究課題/領域番号 |
01440057
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川島 康生 大阪大学, 医学部, 教授 (10028425)
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研究分担者 |
川口 章 大阪大学, 医学部, 助手 (30195052)
中田 精三 大阪大学, 医学部, 助手 (50116068)
白倉 良太 大阪大学, 医学部, 助手 (00116047)
中埜 粛 大阪大学, 医学部, 講師 (70028653)
松田 暉 大阪大学, 医学部, 講師 (00028614)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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キーワード | 異種心臓移植 / Bridge Use / discordant系 / 補体抑制剤 / 超急性拒絶反応 / コブラ毒(cobra venom) / nafamostat mesilate(175-FUT) / モルモット、ラット |
研究概要 |
〔目的〕ドナ-不足の折からレシピエントの心不全の憎悪の時の救命手段として,完全植込型人工心臓と同様、bridge用に異種移植を考えている。中でも種差の大きいdiscordant異種移植(例、ブタ、ヤギからヒト)は、concordant(例、チンパンジ-、ヒヒからヒト)に比べてドナ-が獲得し易いため、本研究ではdiscordant異種移植の免疫抑制を検討した。これまで我々は、discordant移植における超急性拒絶反応にはホストの補体系の特にalternative pathwayが関与していることを明らかにした。今回の研究では、C3を枯渇させるコブラ毒と、C1又はC2を抑制するnafamostat mesilate(175ーFUT)を用い、discordant異種移植における超急性拒絶反応に対する補体抑制剤の効果に関する検討を行った。 〔対象と方法〕ドナ-に2ー3週齢250gのモルモットを、レシピエントに8ー9週齢200gのLewisラットを用い、Ono-Lindsey法に従って移植した。その生着期間を観察し、拒絶後の組織学的所見を光学及び電子顕微鏡で検討した。I群(N=10)は対象群として無処置群、II群(N=4)はコブラ毒(CoF)を移植前日に筋注した群、III群(N=2)は175ーFUTを10mg/kg静注前投与し、移植後10mg/kg/hr持続静注した群とした。尚、III群では175ーFUTの投与量、投与法の至適条件が得られていないためかホストが死亡したため、2例とも1時間30分で拒絶前(拍動中)のグラフトを摘出した。 〔結果〕各群のグラフト生着期間(mean±SD)は、I群15±9.1分、II群2.6±0.4日、III群1時間30分以上であった。組織学的所見では、I群では細胞浸潤のみられないdiffuseな心筋細胞融解の所見を、II群では心筋細胞融解に加えて細胞浸潤と血管閉塞の所見を、III群ではI群に比べて軽度であるが細胞融解の所見を認めた。 〔結語〕(1)CoFは生着期間を著明に延長させた。(2)175ーFUTはホスト死亡のため正確な期間は不明であるが1時間半まで生着期間を延長させた。(3)discordant異種移植の超急性拒絶反応に補体抑制剤が有効であることが示唆された。
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