研究概要 |
本研究の目的は内科的治療の見通しが現在のところ立っていないアルツハイマ-病治療を脳外科的に模索することである。平成元年と2年度の研究成果を基礎にして,本年度は臨床応用のとき当然対象となる老齢ラットを実験動物に選び,神経自家移極と学習能テストを突き合わせた研究を行なった。 1).マイネルト核を破壊したモデルラットを24月齢まで生かしておくことは非常に難かしかった。 2).それらのラットに受動的回避反応条件づけ,8方向迷路学習をさせたが,それまでの結果(9〜12ヶ月齢ラット)と差は認められなかった。ただ,自発活動量に関しては新奇場合に曝されても増加することはなかった。 3).片側迷走神経節を切出し,大脳皮質に自家移植した結果はおおむね良好で,活着することと,神経繊維が発芽することが観察された。 4).マイネルト核破壊により学習成績が低下したラットに迷走神経節を移植すると,受動的回避反応に改善が認められた。 5).移植部位の選択などに問題を残しているが,以上の実験的事実は大動物での実験へと導びくものであると考えられる。 6).実験成果は2つの国際神経外科学会と国内の神経科学会において口頭発表し,2篇の英文論文に纏められた。
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