研究分担者 |
江原 武一 京都大学, 教育学部, 助教授 (00012568)
天野 正輝 京都大学, 教育学部, 教授 (90024992)
坂野 登 京都大学, 教育学部, 教授 (80025105)
和田 修二 京都大学, 教育学部, 教授 (50025102)
稲葉 宏雄 京都大学, 教育学部, 教授 (10025108)
中川 久定 京都大学, 文学部, 教授 (20023559)
小林 哲也 京都大学, 教育学部, 教授 (90025114)
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研究概要 |
本研究は,平成元年度〜3年度の3年間にわたって実施されたもので,今年度はその最終年度である。また,本研究においては,概念規定研究班,国際比較研究班,データベース作成班の3つの作業グループによる研究,および,研究分担者の個別研究の両面からの検討が進められた。 今年度の研究の成果はいくつかあるが,その第一として「ナショナリズム-パトリオティズム尺度」と幼児期の愛着体験との関係を調査し(対象は大学生817人),アメリカの研究結果と比較する研究が行なわれた。調査データの因子分析結果によると,(a)ナショナリズム-パトリオティズム尺度では,日米の共通点もあるが,日本の大学生では因子構造に未分化な点があること,(b)愛着体験尺度では,愛着の対象(父母)や被験者の性別(男女)を越えた共通した因子が抽出されたこと,(c)ナショナリズム-パトリオティズム尺度と愛着体験の関連性は男子被験者のみで観察され,愛着体験の強さが愛国心の強さと結びつくこと,などが明らかにされた。 次に,第二の研究成果として,帰国子女におけるナショナル・アイデンティティー形成の問題がある。この研究では,京都市内の中学校2年生の帰国子女学級生徒への面接調査が実施された。帰国子女は,帰国子女である前に1人の中学生であり,1人の人間であるはずだが,「帰国女子」というカテゴリーが一人歩きし「帰国子女〈問題〉」として問題視されるのは,むしろ日本社会の排他性の側に問題があることを明らかにした。 さらに,ナショナル・アイデンティティーに関するデータベース作成が試みられた。教育学関連のデータベースERICに‘nationalism'や‘citizenship education'などのキーワードでアクセスして文献を検索した他,ナショナル・アイデンティティーに関する文献を収集した。
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