研究課題/領域番号 |
01450045
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金子 照基 大阪大学, 人間科学部, 教授 (30027958)
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研究分担者 |
榊原 禎宏 (榊原 禎弘) 大阪大学, 人間科学部, 助手 (90215616)
小松 茂久 神戸常盤, 短期大学, 講師 (50205506)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 高校教育 / 中途退学 / 高校文化 / 高校中退 / 学校不適応 |
研究概要 |
3年間にわたる本研究を通じて、以下のようないくつかの知見を獲得し、また今後の研究課額を整理することができた。 まず、結果として中退した生徒の在学中の意識的特性は、ただ学校生活に対する否定的あるいは消極的姿勢によって示されるだけでなく、そうした彼らの態度を基底的に支える自己評価意識が大きく関わっていることが、明らかとなった。つまり、中退した生徒の多くは、高校進学自体や現在通う高校での諸活動への参加意欲が低いということに加えて、学校で前提的な要求される、継続的な努力志向や、勉学に対する目的意識を十分に用意することができず、このことが原級留置措置を受けやすい要因となり、年度末には退学するパタ-ンが多いことを確認できた。 また、彼らの友人関係や進路意識に関わっても、従来とは異なった中退者像を認めることができた。それは、どちらといえば学校生活に消極的で学校での行動も控え目な生徒が中退しやすいのではないか、というイメ-ジを転換させるものであった。中退した生徒の少なくない部分は、学校外活動に積極的で、友人関係も盛んであると認識している。また彼らの多くは、自己主張が強く、そのための行動を惜しまないとも理解できる。こうした彼らの意識特性は、現在の学校が彼らを受け入れる素地をあまり有していないことの証左として見ることもできる。つまり、準義務教育機関化している現在の高校ではあるが、その教育機能の相対化を発想の上でも図らなけれればならないかということである。 以上の考察および分析を通じて、従来描かれてきた姿とは異なった中退者像を抽出することができたが、それは全体として曖味であり、高度に妥当な指標を発見しえたわけではない。このことは、より計画された調査表を作成することよって解決できる部分のあることを予想できるが、他方、中退群の識別そのものがどの程度可能なのかについて、再検討すべきことも確かである。つまり、彼らの意識特性が彼らの置かれている環境との関連でいかに規定されているのかの分析を欠いては,総体としての中退者像を確定することができず、その意味で、彼らの学校生活を中心とする実態の把握が課題とされている。
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