研究概要 |
草稿・資料の照合研究によって、フォ-クナ-の文学世界構築の過程を細かく辿ることが出来た。その成果の一端は、昨年度と平成3年度との2年間にわたる東京大学文学部での構義ノ-トに纒めた。また、フォ-クナ-未発表短篇集を飜訳し、冨山房「フォ-クナ-全集」第26巻として刊行するが、巻末の「訳者解説」において、未発表短篇と既刊主要作品との照合・対比を行ない作品の成立過程を辿り;主題の解明を試みた。(目下,再校まで進んでおり、今年中には刊行の予定である) フォ-クナ-を、国際的視野からも提えるべく、グレッセ・パソ大教授,ポ-ク・南ミシシツピ-大教授,大橋健三郎氏との共同編集で、山口書店からFaulkner Studies一巻一号を刊行した。目下、一巻二号の校正準備中である。 昨年11月初めから、本年2月末まで、NHKラジオ第2放送の番組「原書で読む世界の名作・ウィリアム・フォ-クナ-短篇集」に計16回出演し、「エミリ-のバラ」,「納屋を焼く」,「あの夕陽」,「赤い葉」について解説した。リスナ-からかなりの反響があったので、出版する計画がある。 拙論「フォ-クナ-と歴史・『死の床に横たわりて』と『緋文字』」が、劉〓氏によって中国語に飜訳され、中華民国・四川省の綿陽師専の学報に掲載された。 拙論『モ-ゼよ、往け』論が、ア-サ-・キニ-・マサチュセッツ大教授の編集による「フォ-クナ-代者論文集」に収載された。日本人として初めてのことである。 光学読み取り機で、フォ-クナ-の主要作品をフロッピ-・ディスクに読み込んだ。作品照合研究の有力な武器となるであろう。
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