研究課題/領域番号 |
01450069
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉浦 博 東京大学, 教養学部, 教授 (80012334)
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研究分担者 |
中澤 英雄 東京大学, 教養学部, 助教授 (30012511)
池田 信雄 東京大学, 教養学部, 助教授 (40083290)
杉橋 陽一 東京大学, 教養学部, 教授 (50015278)
平子 義雄 東京大学, 教養学部, 教授 (90030387)
恒川 隆男 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (60022258)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 歴史概念 / 神話概念 / 日常的・私的文学 / 新保守主義 / 新主体性 / 美的主観性 / ポストモダン / 戦後の啓蒙思想 / 神話概念の転換 / 歴史概念の転換 / 「新主体性」文学 / 美的主体性 / 歴史家論争 |
研究概要 |
われわれは、おおよそ次のような問題群、即ち: 1)1960年代の改革運動の終息と、啓蒙主義的歴史観への懐郷 2)日常的・私的なものへの関心-自伝文学、郷土文学、日常詩 3)いわゆるNeue Subjektivitat、Neue Sensibilitatの文学に見られる歴史把握 4)いわゆるポスト・モダンの歴史像 5)神話概念の再検討 6)「美的主観性」による卉界把握、等に を設定して、標記の課題を考察した。 その結果、1970年以降の、主として(旧)西ドイツの思想と文学の領域において、歴史概念と神話概念の価値についての理解が大きく転換したことを確認した。このことは、1969年のいわゆる学生騒乱を境に、個々人の社会的行動に根本的な変化が生じたこと、70年代には政治的安定と経済的繁栄に達して社会全体が著るしく保守化したことと深い関わりがある。それまで有力だったフランクフルト学派に代表される考え方に対するアンチテ-ゼが、70年代以降、ブルーメンベルクやマルクヴァルトらの新保守主義者によって提出され、従来とは逆に、神話概念が肯定的に、歴史概念が否定的に把握されるようになったことが検証された。この両概念の価値の転換は、思想の領域においてのみならず、文学を中心とする芸術の諸分野にも、さまざまの形をとって現われたことが論証される。自伝文学、郷土文学、日常詩の方向がそれを実証している。 (旧)東ドイツにおいてこの問題がどのように現われたかについての論究は遺憾ながら所期のようには進歩しなかったが、1989年秋のベルリンの壁の崩壊、翌年のドイツ再統一、東ドイツの消滅は、この問題設定の基本的な枠組み自体の再構築を追っている。
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