研究概要 |
1.土地税制が地価に与える効果を理論的に分析し、低度利用地については譲渡所得税のロック・イン効果は大きくないことや、固定資産税の強化が宅地供給に与える効果は大きくないことを示した。(「土地税制の宅地供給阻害効果と地価」(金本良嗣,『日本の株価・地価』所収) 2.日本の地価の長期的な動向を分析し、ファンダメンタルズのアプロ-チで説明できるかどうかを分析した。昭和61ー63年の地価高騰はファンダメンタルズでは説明できず、合理的バブル,ケインズの美人投票,情報の不十分性,貨幣錯覚などを組み合わせなければ説明できないことを示した。 3.我国の住宅・土地市場について、制度的背景,税制,歴史的経緯,及び現状の整理を行い,今後の政策上の課題を検討した。 4.土地開発の動学モデルを用いて、地価税,固定資産税,遊休地課税及びキャピタル・ゲイン税が土地開発のタイシングにどういう効果を与えるかを定量的・定性的に分析した。 5.農地の市場、特に田の市場がweakーform efficientかどうか検討した。得られた結果は、市街地化が進んでいると思われる大都市圏を除けば、概ね農地の市場はweakーform efficientであることを示唆している。これに対し、市街地の市場では圧倒的にweakーform efficiencyは棄却される。このことは、日本の土地市場が全体としてinefficientではなく、市街地の土地市場がinefficientであることを示す。 6.集計されたデ-タではなく、個々の土地についても効率性がいえるかどうかを 東京都23区の個別土地のデ-タを用いて検討した。結果は、semiーstrong form efficiencyは成立していない可能性を示唆している。
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