研究課題/領域番号 |
01460011
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
蓬茨 霊運 立教大学, 理学部, 教授 (70062601)
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研究分担者 |
井上 一 宇宙科学研究所, 助教授 (40092142)
柴崎 徳明 立教大学, 理学部, 助教授 (50206124)
満田 和久 宇宙科学研究所, 助手 (80183961)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | QPO / X線星 / 質量降着 |
研究概要 |
この研究の主目的は低質量連星型X線星に関し、そのエネルギ-スペクトルの性質やX線強度の準周期的振動(QPO)現象を明らかにすることであった。観測と理論との緊密な連係を図りながら研究を進めた結果、いくつかの重要な成果を上げることができた。X線天文衛星″ぎんが″で得られた主な観測事実としては次のようなものが挙げられる。 (1)GX5ー1の観測でHorizontal Branch QPOと低振動数ノイズ成分の強度がそれぞれ独立に変動するのを見いだした。 (2)X線パルサ-CenXー3と4U1626ー67からもQPOを検出した。 (3)低質量連星型X線星4U1608ー522の観測で、そのエネルギ-スペクトルの7ー20KeVの範囲に、power law成分からのずれとして浅く幅の広い吸収構造を発見した。 (4)1991年1月、″ぎんが″はX線新星GS1124ー68をとらえた。そしてこのX線源から振動数が2ー6Hzの範囲にあるQPOを検出した。 得られた観測事実とモデルの比較あるいは理論的考察の結果、次のようなことが明らかとなった。 (1)QPOの有力なモデルであるビ-ト振動数モデルで、QPOをつくる物理的メカニズムとして考えられているplasma clumpと磁場との相互作用は上の観測事実(1)と予盾し、再検討の必要であることが明らかになった。 (2)X線パルサ-からのQPOはビ-ト振動数モデルでうまく説明される。 (3)上の(3)で述べたスペクトルの構造は、鉄のK吸収を受けていない中性子星からの直接成分と降着円盤で吸収を受けた反射成分との重ね合わせによって説明できる。 (4)GS1124ー68のエネルギ-スペクトルはブラックホ-ル候補の特微的なエネルギ-スペクトルに良く似ている。もしGS1124ー68の中心天体がブラックホ-ルであるとすれば、振動数が2ー6Hzといった低振動数のQPOは降着円盤中に励起された波がその原因であると推論できる。 本研究により、低質量連星型X線星に関し、そのエネルギ-スペクトルの性質やQPO現象の複雑な要素の整理が進み、いくつかの基本的な問題に対する理解が得られた。この研究で得られた成果は、中性子星への降着流に関する今後のより詳細な研究の重要な基礎となるであろう。
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