研究概要 |
以下の3テ-マについて研究を行なった。 1)Tmアイソト-プの光ポンピングによる核偏極生成とそれによる極気モ-メントの測定。 CaF_2又はSrF_2結晶中に,核反応で生成した ^<164,166>Tmを打ち込み,オフライン又はオンラインで光ポンピングにより核偏極を生成した。実験は大阪大学機物理研究センタ-の質量分離装置CARPを用いて行ない,偏極度はβ線の放出非対称分布をプラスチックシンチレ-タ-で測定することにより検出した。約2〜4%の核スピン偏極が得られ, ^<166>Tmの基底状態の磁気モ-メントを高精度で決定した。これに関連して,安定核 ^<169>TmをCaF_2に打ち込み,その結晶内で占める位置や電荷状態を調べる実験も独立に行ない,この光ポンピング法が有効であることを確かめた。2)GaAs中でのInアイソト-プの核スピン偏極生成。 ヨ-ロッパ共同原子核機構(CERN)における質量分離装置ISOLDEを用いて, ^<14m>InをGaAsに打ち込み,日本でオフライン実験により ^<14m>Inから崩壊して出来る ^<114>Inの核スピン偏極を生成した。800nm付近の狭い領域で,約2%の核スピン偏極が生成出来た。又ランダウ共嗚の影響と思われる微細構造を,その波長依存性の中に見い出した。 3) ^<33>SiのGaAs中での核偏極と磁気モ-メント。 理化学研究所のリングサイクロトロンを用いて,ArtBe反応により ^<33>Siを生成し,RIPS装置により質量分離後,GaAs中に打ち込んだ。光ポンピングにより生成された核偏極は約2%であった。波長は約846nm近辺でのみ偏極が生成出来た。又 ^<33>Siの核磁気モ-メントの予備的な値を得た。以上の結果,光ポンピング法が,光安定核の構造研究に極めて有効であることが示された。
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