研究概要 |
希土類の変形核のク-ロン励起の実験を行った。実験には,デンマ-クのニ-ルス・ボ-ア研究所において共同で建設したNORD Ballと呼ばれる装置を使用した.この装置は、現在世界最高の性能を有するものである。この装置の内部に,散乱粒子測定用の6個のSi検出器を取付けるようにしたので,ク-ロン励起に最通の装置となっている. 從って,ガンマ線スペクトルは、バックグラウンドが今までのものより1桁減少し,大へんきれいなスペクトルが測定される.また,散乱粒子と2つのガンマ線のpーδーδ同時計数スペクトルが得られ,エネルギ-レベルの決定に役立っている.BaF_2シンチレ-タで作られたインナボ-ルの使用が始まり、ク-ロン励起での利用を試みている. 1.去る1990年1月に行った ^<154>Smの ^<58>Niビ-ムによる実験デ-タを解した.基底状態の回転バンドのスピン16+まで励起することができ,変形がスピンと共に大きくなっていることが明らかになった.K=0^+,2^+のβバンドとδバンド,K=0^-の8極バンドおよび2つの新しいバンドが発見された. 2.1990年8月には、 ^<154>Smと ^<160>Gdを ^<46>Tiビ-ムによるク-ロン励起の実験を行った。その結果,先の実験では確認できなかった ^<154>Smのδバンドが明らかになった. ^<160>Gdでは,8極バンドとδバンドがスピンの高いところまで見ることができた。1991年2月の実験では、 ^<32>Sビ-ムにより ^<158>Gdを励起し、βバンド,δバンド,2つの8極バンドを明らかにすることができた。詳細については、現在解析中である. 3.昨年度の科学研究費で買入したワ-クステ-ションは、広島大学において使用している.デ-タ・ソ-ティング用プログラムの開発が進み、解析が軌道に乗った.また,ク-ロン励起の理論計算プログラムもこのワ-クステ-ションで行えるようになった.
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