研究分担者 |
石川 琢磨 いわき明星大学, 理工学部物性学科, 助教授 (80016138)
高重 正明 いわき明星大学, 理工学部電子工学科, 教授 (70114527)
吉田 喜孝 いわき明星大学, 理工学部物性学科, 助教授 (20107444)
沢田 正三 いわき明星大学, 理工学部電子工学科, 教授 (60015998)
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研究概要 |
当初研究の目的として,膜堆積方向の超格子周期によるブリルアン・ゾ-ン分割効果など多くの未開拓の問題の残る金属人工格子膜の研究,や,高温超伝導の基となっている金属酸化物や,さらにはハロゲン化物の伝導機構,また広い意味で超格子と相関連する黒鉛層間化合物の研究を志した。ここに,当科学研究費補助金の給付期間である平成元年度〜3年度に達成した研究実績の概要を記す。 1.金属超格子膜としてはEuーSr系を研究した。極めて高活性の膜であり,種々の試みの末,BaF_2膜で上面をプロテクトする電子衝撃蒸着法でほぼ安定化させることが出来た.基板をBaF_2単結晶に選び,エピタキシャル膜がえられた。この膜の一つについてはキュ-リ-点-2.1Kのキュ-リ-・ワイス磁性がえられ,さらに約10K以下の低温ではフェロ的スピン秩序が見出された。 2.金属酸化物として,CuO_2系超伝導酸化物について酸素濃度制御の大気下加熱・急冷処理法を見出した。またY系,Bi系酸化物超伝導体のマイクロ波領域の電気伝導につき詳しく研究し,直流法と比較した。直流と違い,結晶粒界が抵抗に影響を及ぼす事が少ない。表面抵抗の異常が見出され有効表面積の異常な大きさ等と関係する事等が明かにされた。 3.金属ハロゲン化物としてBr_2,ICl,およびGaCl_3をインタ-カレ-トした黒鉛層間化合物(GIC)を合成しそれらの物性を研究した。Br_2/IClーGICsはCCl_4で希釈したBr_2,ICl溶液上にかざした母黒鉛のホ-ル効果等を,反応時inーsituに測定し,結果の解析から,インタ-カレ-ション反応に伴う伝導正孔,電子の濃度の変化を明かにした。 GaCl_3ーGICsについては塩素ガスと共封し,室温ですでに第一ステ-ジが合成され,これを排気しつつ数10℃に熱処理して高ステ-ジがえられた。電気的性質のステ-ジ依存性を調べ,代表者の提唱する理論と比較する研究が残っている。
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