研究概要 |
本研究は,北日本及び中部日本の一部を含む東北地方に分布する白亜紀から第四紀にわたる火成岩類に含まれる各種放射性同位体の中で,特にSr同位体比を利用して岩石や鉱物の成因論を追求することを目的として行なわれたものである。この目的は次の3つの柱によって遂行されてきた。 A:天然の岩石・鉱物中からSr及びRbを抽出し,その同位体比をチェックし,使用する薬品や水等によるコンタミネ-ションの影響を最小限に抑える方法を確立する。 B:様々な時代の火成岩類のSr同位体比を測定し,Sr初生値を求め,時代と共にその値がどのように変化し,また特定の時代に広域的な変化があるかを検討する。 C:黒鉱鉱床の鉱石や母岩の同位体比を測定し,両者の間に同位体的に何らかの関係があるか否かを検討する。 これら3つの柱の中で,柱Aは本プロジェクトの初年度に確立され,既にル-チン化されている。火成岩類のSr初生値は,白亜紀の花崗岩類,新第三紀の火山岩類,第四紀の大成岩類について,多数のデ-タを出すことが出来た。新第三紀の花崗岩類は適当な試料が得られなかったため,北海道日高山脈のサンプルを採集し,さらに原生界の花崗岩類はスウェ-デンの試料を使用した。本研究によるSr初生値に関するデ-タは,研究代表者や研究分担者によって発表された論文中に,もしくは今後公表される論文中に示されている。 目的のCは定性的な段階に留まってしまったが,本研究期間中に集めた試料が沢山あるので,今後研究したい。
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