研究概要 |
細粒堆積物の堆積機構と堆積構造について東京大学海洋研究所所有のピストンコアラ-用いて詳細な構造の記載と粒度分析、さらに水槽実験により堆積構造の生成過程を研究した。 1.室戸沖南海トラフ陸側斜面の細粒堆積物 水深1850-4470mの陸側斜面で採集されたピストンコアラ-について、堆積構造の記載と詳細な粒度分析を行なった。この結果、つぎのことが明らかになった。 (1)タ-ビダイト起源の細粒平行葉理部では、4.5〜5.5ファイ(30ミクロン前後)にピ-クをもつ粒度分布が特徴的にあらわれる。 (2)半遠洋性起源の泥質堆積物では、7.5ファイ(6ミクロン)前後にピ-クをもつ粒度分布が特徴的にあらわれる。 2.水槽実験 シルタサイズの粒子をけん濁した水を流速5,10,20cmの各段階で循環させると4.5〜5.5ファイのピ-クをもつ細粒平行葉理が形成されることがわかってきた。一方、7ファイより細粒の粒子は沈降せず、けん濁し続けることがわかった。 以上のことにより、泥のけん濁からタ-ビダイトや洪水堆積物のどに特徴的な細粒平行葉理が形成され、その粒度は30ミクロン前後であることが明らかになった。またそれより、細粒の粒子は凝集による沈降が主となると予想される。この研究によって始めて、シルトサイズ粒子の挙動と堆積構造の関係が明らかになった。
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