研究概要 |
1.ポアソン比,縦弾性系数が異なる二つの材料を用いて,3層積層モデルによる複合材料の力学モデルを作製した.これの引張試験を行い,応力ーひずみ線図を得た.さらに部分片振り荷重の下で疲労試験を行なってSN曲線を得るとともに,試験片破断部を顕微鏡で観察し,破壊様式を論じた. 2.複合材料の力学モデルに荷重が作用するときのモデル内に生ずる応力の数値解析を行った.局所的に見ると複合材料内部において材料の縦弾性係数やポアソン比は一定でないと考えられる.そこで,実験的に求められるはりのたわみから,材料内部の縦弾性係数を推定する逆解析手法を提案しその検討を行った.逆解析の基礎式として一般的なはりの式を用い,計算はDFP法を用いた最適化手法によって行った.さらにその結果を有限要素法のプログラムより得られた結果と比較し,解の有効性を確かめた. 3.異なって材料を用いてモデル実験を行い,マトリックスの劣化を調べた。それぞれのマトリックスを恒温恒湿度の槽内に一定期間保存した後,引張試験とシャルピ-衝撃試験を行った.そしてその破断面を顕微鏡および電子顕微鏡で観察し破壊様式について論じた.さらに重量の測定と,赤外水分計でマトリックス内の吸水率を測定した.また,前年度購入した赤外分光光度計で劣化によるマトリックスの化学的構造の変化を調べ,マトリックスの機械的な性質の変化と赤外スペクトルの変化の間の関係を認めた.
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