研究概要 |
本研究では、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマジェットCVD法によりメタンと水素の混合ガスから,メタン濃度,ガス流量,基板温度などの合成条件を種々に変えてダイヤモンド膜を化学気相成長させた.平均的な成膜速度は前者で1μm/h,後者で500μm/hである.合成条件によって得られたダイヤモンド膜の様相が異なった.そこで,これらをX線回折法およびラマン分光法により評価した.その結果,前者ではメタン濃度1%以下の場合,無定形炭素を含まないダイヤモンド膜が得られ,メタン濃度の増加とともに無定形炭素が増加することがわかった.また後者においてもメタン濃度が小さいほど結晶性に優れたダイヤモンド膜が得られ、その傾向は前者と後者は同様であった. 得られたダイヤモンド膜の表面は粗いので,2通りの方法で平担化を試みた.1つは,YAGレ-ザをダイヤモンド膜表面と平行に照射して平滑化するもので,短時間に3μmRmax程度の面を得ることができた.もう1つは,本研究の経費で試作したイオンビ-ム照射装置によるもので,アルゴンイオンにより0.5μmRmax程度の面を得ることができた. これらの面を約900℃に加熱した鉄板と接触させながら相対運動させることで0.03μmRmaxの表面を得ることができた.したがって,この両者を併用するこによって,短時間に平滑な表面を得られることがわかった. さらに,ダイヤモンド膜の機械的性質を調べるために,レ-ザ照射により平坦化したダイヤモンド膜で切削工具を試作し,AlーSi合金の切削実験を行った.その結果,ダイヤモンド膜を構成するそれぞれの結晶粒から剥離することもなく十分強固な粒間の結合力があることがわかった. また3探針法で研磨した後のダイヤモンド膜の電気抵抗を測定した結果,結晶性のよい膜ほど大きい値を示した.
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