研究概要 |
1.3次元離散渦法を用いて,基本的な渦の3次元相互干渉を調べ,この方法の有用性,問題点を検討した。まず,正方形渦輪の角度を円弧でおきかえ,円弧部分の曲率を系統的に変化させることによって,辺の転換が生ずること;転換周期は渦核半径とともに増加することを示した。運動エネルギ-,運動量,ヘソシティなどの保存量は,渦度の発散が生ずるまでは比較的よい精度で一定に保たれることがわかった。 2.長方形の短辺を半円で置換した渦輪(擬楕円渦輪)のアスペクト比ARを広範囲に変化させて,その変形過程を調べた。この結果,ARの値に対応して4つの基本的な変形パタ-ンのあることがわかった。この結果は,渦輪の断面を多数の渦要素に分割して,粘性効果を取り入れた計算によって確認された。また実験によっても確認された。以上の結果は,非円形噴流の発達,混合速度,乱流構造を理解するために有用である。 3.等元性乱流はさまざまな強さと大きさをもつ渦の相互作用の結果であるとされている。この概念の妥当性を検討するために,4〜8個の円形渦輪を,対応する正多面体上に配列したときの相互作用を3次元離散渦法によって計算し,Kolmogorovスペクトルが実現されることが確認された。同時に散逸スペクトルもk^<1/3>(k:波数)に比例する波数範囲をもつことがわかった。k^<ー5/3>スペクトルが現われるのは,相互作用によって生ずる高渦度領域がほぼ等方的に分布するときであり,この領域が非等方的であるときはk^<ー5/3>領域は実現しがたいようである。 4.主流の中におかれた円板の非定常はく離流れを,3次元離散渦法によって計算する方法を示した。この結果を用いて,実際に非定常はく離流れが解析しうることを示すとともに,後流中の3次元渦構造の形成過程を明らかにすることができた。後流の中心軸が下流方向に位置を変えることから判断して,スパイラル型の構造の存在が示唆された。
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