研究概要 |
(1)光学観測に適したWolfhardーParker火炎を分光測定し,コンピュ-タ・シミュレ-ションを行うことによって,OH,CH,C_2ラジカル自発光の性質を調査し,それらの可視化方法を検討した。そして,多種類の光干渉フィルタを通して得られる火炎発光画像を演算処理することによって,ラジカル自発光像を背景発光(すすなどからの固体発光)から分離・抽出する装置を開発した。 (2)その装置の受光部(干渉フィルタ,イメ-ジ・インテンシファイア,カップリングレンズ,CCDカメラ)を2系統準備し,それぞれにパソコンからの電気信号で駆動できる機械式シャッタ-を取り付けた。また,噴霧火炎の構造を調ベる際に,その目的に応じて最適の発光瞬間画像(OH発光とすすからの固体発光を含むC_2バンド発光,OH発光と油滴からのミ-散乱光など)を組み合わせた2画面同時取り込み,あるいは同種類の発光の2画面時間差取り込みができる光学系制御装置を製作し,それらの画像処理演算手法を考案した。 (3)噴霧火炎中で,各種ラジカル自発光および油滴からのミ-散乱光を干渉フィルタで分光してポイントで連続モニタする光学系も構築した。 (4)(2)および(3)で開発した可視化装置を予混合噴霧火炎に適用し,各種ラジカル発光バンドにおける火炎発光や油滴からのミ-散乱光を撮像して火炎構造を観察した。また,火炎発光のポイント同時連続モニタ光学系も併用して,画像から得られる情報をサポ-トした。その結果,(a)気体燃料と噴霧油滴が共存する領域へ選択的に火炎が伝ぱする;(b)気体燃料や燃料蒸気が液体燃料油滴に比して多い場合には,燃焼反応領域内で油滴が急速に蒸発・燃焼し,油滴群全体として予混合的に燃える;(c)噴霧油滴が多くなると,燃焼反応は油滴群の外部で生じ,油滴群内部にはすすからの強い固体発光を伴う拡散火炎片が生じている,いわゆる階層的な油滴集合燃焼状態になるということが分かった。
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