研究概要 |
本研究の成果は, (1)アンモニア水溶液の熱物性値の評価および各種熱力学線図の作成, (2)水溶液の熱力学性質測定装置の開発, (3)トリフルオロエタノ-ル水溶液の熱力学性質の測定に大別できる。 アンモニア水溶液の熱物性値については,まず文献検索を実施し,デ-タベ-スを整理し,従来提案されてい状態式・混合則について実測値との比較,各種状態式間の比較等を詳細に実施した。その結果,エンタルビ-・組成線図の作成にはZieglerーTreppの式,気液平衡線図の作成にはPRーSoave式を使用することが現状では適当であるとの結論を得た。これにより両線図を作成した。また,PVTX性質,飽和液体密度,エンタルピ-等の実測値情報の不足,臨界曲線の各種実測値間の大きな相違などを明らかにし,輸送性質を含め今後実測する必要性の高いことを指摘した。 水溶液の熱力学性質測定装置の開発については,PVT性質・気液平衡・飽和密度・臨界定数・過剰体積・各種微分量などを高精度で測定し得る実験装置を製作し,〜520K,200MPaまでの温度・圧力範囲において所期の測定精度が実現できることを確認した。本実験装置は,溶触塩を熱媒として用いることにより700Kまでの高温において使用可能である。 また,トリフルオロエタノ-ルの飽和蒸気圧力を320〜400K(30〜589kPa)の範囲において測定し,86点の実測値を得た。これらの実測値に基づいて,その標準沸点を347.03±0.10Kと決定した。さらに,トリフルオロエタノ-ルのPVT性質および飽和液体密度の測定を313〜413K,〜200MPaの範囲で実施した。今後各種組成のトリフルオロエタノ-ル水溶液に対し各種熱力学性質の測定を実施する計画である。
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