研究概要 |
金属としてNiAl,半導体としては(Al,Ga)Asを選び,NiAlをGaAs(001)基板上にAlAs成長させた上に作成した.なお,Niの分子線源として高純度のNi金属を平成元年度に開発した高温用クヌ-ドソン・セルを用いた. NiとAlの組成比を1対1になる科学量論比に固定し,成長温度を200℃から700℃まで変化させ作製した薄膜結晶の結晶構造をX線回折などにより調べた.その結果,NiAlの成長温度には3つの温度領域がある事が明らかになった.成長温度が300℃以下では結晶化せず,アモルファスで,300℃から400℃の間ではNiAl以外の数種類のNiAlの金属間化合物もできる.400℃以上600℃まではNiとAlが1対1になる科学量論比の結晶がエピタキシ-成長し,成長温度が高いほど結晶性の良い薄膜ができる事が明らかになった. 初期段階での結晶成長機構をさらに詳細に研究することにより今まで全く観測されていなかったような非常に細くて長いNiAl金属細線が(Al,Ga)As上にエピタキシ-成長により作成できることが明らかになった.また,この成長機構の研究により半導体・金属・半導体構造を作成する結晶作成条件も明らかになった. (Al,Ga)As上に作成したNiとAlの組成比が1:1のNiAl薄膜は電気低抗の測定から完全な金属であり,その値はバルクのNiAlより小さな値となった.これは結晶が完全な単結晶であるためである.また,高温成長により作成したNiAl細線は断面が約30×20nm^2長さが数μmにもなり,低温で金属量子細線特有な現象が観測された.(Al,Ga)As・NiAl・(Al,Ga)As構造とNiAl細線のデバイス応用は種々の構造を検討し,その構造を作成して研究してきた.
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