研究概要 |
公称直径1mm,2mm,3mmの極細異形鉄筋,及び粒度分布を縮尺率に合わせたマイクロ・コンクリ-トを用いて,縮尺1/15の雁行型,及び非雁行型の2住戸平面を有する,桁行方向2スパン,梁間方向1スパンの11階建の鉄筋コンクリ-ト造梁崩壊型壁式ラ-メン構造建物の超小型模型をそれぞれ1体製作し,振動台による破壊実験を行なった。この振動破壊実験により得られたデ-タの整理・分析を行なった結果以下の知見を得た. 1.試験体の応答はひび割れの発生などによる剛性低下に伴う固有周期の変化に大きく依存している.固有周期の変化を考慮すると,試験体の最大応答量は加振波の加速度応答スペクトルにより推定できるものと考えられる.これは実験対象とした試験体がいずれも特定層への変形集中があまり極端でなかったことに起因するものと考えられる. 2.各階に加わる水平力の最大値分布は,試験体が弾性範囲と考えられるレベルの入力加速度に対してはほぼ逆三角形分布となり,入力加速度レベルが上昇するに従いS字型分布成分が入り込んでくる.これは高次振動モ-ドの影響が現われたものと推察される. 3.各層最大せん断力係数分布は,概して降伏までは外力分布を逆三角形としてその上限値を抑えることができるが,その後の分布は逆三角形と仮定すると上層階において過小評価となる. 4.部材の弾塑性性状に立脚した地震応答解析により試験体の振動性状の解析的な検討を行なったが,今なお解釈しきれないところがあり,今後部材の復元力特性を再検討するなど更なる探求が必要である.
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