研究概要 |
Al,Fe,Nb,Ni,Ti,WおよびZrに大気,窒素およびアルゴン・アンモニヤ混合ガス中でレ-ザ-光を照射し(パワ-密度:3×10^9W/cm^2),表面生成物を主としてX線回折により同定,表勤の変成状況を研究した。得られた成果は以下の通りである。 (1)W:雰囲気ガスの種類にかかわらず,窒化物,酸化物 共に形成されなかった。 (2)ZrおよびNb:窒化物のピ-クが観察されたが,低入射角X線回折によっても酸化物のピ-クは観察されなかった。表面に形成された窒化物として,Zrの場合ZrN,Nbの場合にはピ-ク強度は小さいものであったがNb_2Nが検出された。 (3)TiおよびAl:Tiの場合全ての雰囲気のもとでTiNの生成が明瞭に認められた。大気中の照射では,ピ-ク強度は小さいもののTiO_2の生成が検出された。但し,TiOの生成を確認することはできなかった。TiOとTiNの回折ピ-ク位置が重なるためであるが,窒素ガス中および大気中照射に対するTiNピ-クの強度に変化がないことからTiOの生成はないと考えられる。 (4)FeおよびNi:窒素ガス中照射では窒化物,酸化物 共に形成されない。大気中照射では,Niの場合NiOが検出されたが,Fe,Al表面では酸化物は検出されなかった。但し,これら金属表面には激しい損傷が生じた。 (5)窒化物の形成について,以下のような一般的傾向が認められた。すなわち,Nb,Zr,Tiのように本照射条件における表面到達温度(約3500K)より高い沸点を持つ金属の表面には,大気,窒素ガス中照射の場合共に窒化物が形成され,それより低い沸点を持つFe,Niには窒化物の形成が認められなかった。このことは,下地金属の表面に液相が存在するか否かにより,レ-ザ-照射下における金属表面の変成機構が大きく異なることを示唆している。
|