研究概要 |
〔目的〕原子炉や臨界装置の測定孔等の狭い空間への挿入および水中,地中への挿入が可能な細くて長い冷置検出型中性子計数管を作製し,それを用いた原子炉動性解析等への応用を試みる。 〔原理〕従来の電荷分割方式位置検出型計数管においては,計数管の両端に前置増幅器が存在するために,上記のような狭い空間に計数管を挿入して位置の信号を得ることは不可能である。そこで抵抗陽極線の一端を耐高電圧コンデンサーで交流的に接地し,他端から位置の情報を含むパルス信号を得る。また,二重円筒の内側の円筒陰極から全電荷量の信号を得る。二つの信号から正しい位置情報が得られる。そして計数管の一端にのみ二つの前置増幅器を設置できるので狭い空間に容易に挿入できる。 〔結果〕上記の原理に基づく計数管を作製し,コンデンサーの容量と位置の直線性および位置分解能との関係を実験的および理論的に検討した。容量は1000pF以上あれば良好な直線性を与え,相対位置分解能は0.24%と良好であった。位置分解能の位置依存性が若干見られた。 上記の原理に基づく ^3He+CF_4計数ガスを使った位置検出型中性子計数管を作製した。長さ1.3m,外側円筒25mm,内側円筒23mmで,コンデンサ容量2200pFである。γ線バッグラウンドとの分離は十分で,位置の分解能は7mm,位置の非直線性は0.5%であった。 京都大学原子炉実験所臨界実験装置の測定孔に上記の位置検出型中性子計数管を挿入して,中性子束分布を測定した。金線の放射化法は数時間を必要とするのに対して,本方法は4〜5分の測定時間でよい。測定結果は金線の放射代法と一致したが,本方法では計数管の中を通じての中性子のストリーミングの影響が若干あった。逆にストリーミングの測定そのものを効果的に行うことができることが分った。
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