研究概要 |
(1)1,2ージクロロエタンー1ー^<13>C、1,2ージブロモエタンー1ー^<13>C、クロロシクロヘキサンーd_<10>、ブロモシクロヘキサンーd_<10>を合成し、前二者についてはスピン結合定数の圧力変化、後二者についてはαープロトンのNMR化学シフトの圧力変化を精密測定した。これらのうち、ジクロロエタンのJ_<VIC>は加圧と共に明らかに減少することが認められ、高圧力下ではゴ-シュの配座異性体が増加することがわかった。後二者のプロトンは高磁場への圧力シフトを示し、それらの解析によって、高圧力下でハロゲン原子がアキシャルに位置する配座異性体が増加することが示された。今後は大口径高圧セル(現在開発中)の使用により希薄溶液下での高圧実験を計画中である。赤外分光光度計は主として試料物質の合成プロセスにおける中間体及び目的物質の同定用として活躍中であるが、高圧実験用には合成石英管を使用して、熱膨張及びオイルポンプによる2種の昇圧法式を試験中である。いずれもセルの固定位置の再現性が重要であるため、特殊なセルホルダ-を設計準備中である。 (2)(i)β,γー不飽和ーαーケトエステル(ヘテロジエン)とオレフィンとのヘテロディ-ルス・アルダ-反応により3,4ージヒドロー2Hーピラン誘導体を合成する。(ii)グリオキシル酸メチルとβーピネンのエン反応により2種のアルコ-ル(ディアステレオマ-)の片方を優先的につくり分ける。以上の2点について実験をこころみ、ルイス酸触媒下、常圧において好結果を得ているが、顕著で有用な圧力効果を見いだすにはいたっていない。
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